医療法人社団あんしん会 四谷メディカルキューブ
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四谷メディカルキューブ

四谷メディカルキューブ 手掌多汗症(手汗)の治療について

治療方法

当院の治療方針について

内科的治療による保存的治療と、外科的治療による手術療法に分類されます。
内科的治療は、塩化アルミニウムによる外用治療、イオントフォレーシス、ボトックス注射による注射療法、内服治療があります。詳細は、後に紹介します。
そして、外科的治療は手術療法となります。
ガイドラインでは、手術療法は内科的治療に抵抗性を示す方に対して行うことが推奨されています。しかし、日常生活に頻繁に支障をきたしている重症の方では、内科的治療に抵抗性を示すことが多いため、当院では患者様の病 状を診察させていただいて、柔軟に対応致します。手術療法を希望し来院されたとしても、診察時に手汗の程度が軽く、日常生活がそれほど制限されていない方には、内科的治療をお勧めすることがあります。

外科的治療

四谷メディカルキューブでは、手術療法として胸腔鏡下胸部交感神経遮断手術(ETS手術)を行っております。 当院での手術は以下の2点の考えが原則となっております。
① 手汗を確実に減らすこと
② 患者さまの負担を減らすこと

【胸腔鏡下胸部交感神経幹切断術(ETS)について】
全身麻酔で行います。胸の横に3㎜、腋窩に3~5㎜の傷をつけます(両側を手術する場合には、4つの傷がつくことになります)。胸腔鏡を挿入して、モニターを見ながら手術を行います。胸部交感神経幹を確認し、T3・T4の交感神経幹を切断します。手術時間は10分程度となります。癒着や体型などが原因で、手術時間が長くなることがあります。患者様の希望に応じて、T3もしくはT4のみの切断、片側(利き手)のみの切断など、柔軟に対応しております。傷あとは手術直後から目立ちません。また傷は極めて小さいので、手術後の痛みを訴える患者さまは、ほぼおりません。

【期待される効果】
正確に神経幹が切断された場合、手術直後から手の汗が止まります。決してカサカサになるわけではありません。汗が止まる範囲は、両手・ワキ・胸の上から首付近にかけてです。ワキの汗も80%程度の方が減ったと自覚されます。足裏の汗も50%程度の方が減ったと自覚されます。

  

【代償性発汗について】
手術療法は非常に満足度の高い治療ですが、本治療を受けた90%程度の方に代償性発汗が認められるとされています。暑い時や運動した時の汗の量が増える状態を指します。発汗が認められる範囲は、エクリン腺の分布の多い胸・背中・胴回り・大腿部・膝裏が多いですが、他の部位から出ることもあります。手術前の手汗の量とは相関がありません(術前に手から出ていた汗の量が、他のところから出るわけではありません)。
個人差が非常に大きく、どの程度、どの部位に代償性発汗が出現するかを手術前に完全に予測することは、現時点では不可能です。
代償性発汗が認められる90%の方の多くは、他部位からの汗の増加を自覚はするが気にならない程度である、もしくは代償性発汗は認められてもひどい手汗から解放されて本当に良かったと仰っていただいております。しかし一方で、手術を受けた1~2%の方は、ひどい代償性発汗のために生活の質が落ちたと仰います。
2021年8月現在、6300例中、40名(男性が8割)の方が、ひどい代償性発汗のための治療にて通院されております。内服薬で体全体の汗の量をコントロールし、塗布薬を併用するなど、患者様の状態に応じた対応をとっております。代償性発汗は、程度の差こそあれ多くの方に認められるため、手術を受けるかどうかは、どれだけ手汗に困っているか、日常生活が制限されているかによります。手汗の程度の軽い方で、日常生活がそれほど制限されていない方には、内科的治療をお勧めすることがあります。

【代償性発汗を減らす試み、代償性発汗のための外科治療について】
手術時に術後の代償性発汗を減らす為の様々な工夫が一部の施設において行われていますが、医学的なエビデンス(この治療法がよいといえる証拠)に基づくものではありません。
現在、試みとして行われている主なものとして、
① T3もしくはT4の交感神経幹のみを切断する。
② 片側(利き手)から手術して、一定期間をあけたのちにもう片方を手術する。
2つの方法があります。

① T3もしくはT4の交感神経幹のみを切断する。
以前は、T2・T3・T4の交感神経幹切断術が多く行われていましたが、重度の代償性発汗が多くの方に認められたため、現在ではT2の切断は行われなくなりました。その為、現在はT3・T4の交感神経幹の切断が国際標準の治療となっておりますが、T3もしくはT4の交感神経幹のみを切断する治療が試みられています。どちらか一方だけ切断した場合、十分に汗が止まらない方や、時間の経過で手汗が再発してきたという方が報告されています。当院でも、患者様の希望によりT4のみの切断を50人の方に行いましたが、結果的に18人の方に十分に汗が止まらなかったという理由でT3の切断を追加しています。追加で手術を行う場合、癒着により手術を完遂できない可能性があります。2回目の手術を受けた場合にも保険は適用されますが、費用は1回目と同程度です。

② 片側(利き手)から手術して、一定期間をあけたのちにもう片方を手術する。
片側を切断した後の代償性発汗の程度をみて、ひどくなければもう片方を手術するというもので、主に日本で行われています。しかし、片側のみに代償性発汗が認められるという状態が苦痛だと感じられる方も少なからずいらっしゃいます。特に、顔の半分のみに汗が出たり、逆に止まっている状態というのが非常に苦痛であると訴えられます。片側のみ手術を受けても、両側の手術を受けても、手術費用は同額です。反対側の手術を受ける場合にも保険は適用されますが、費用は結果として2倍かかることになります。


現在、国内外の限られた施設において、代償性発汗のためのリバーサル手術や広範囲の交感神経幹切断術(T5、T6、T7)が行われています。詳細な治療効果についての情報開示に乏しく、治療方法についても決まったものはありません。広範囲の交感神経幹の切断を行った場合、発汗機能の低下にともなう局所体温の上昇や熱中症増加の可能性、下半身の発汗量の増加など、様々な影響が懸念されます。そのため、当院では手術による代償性発汗の治療は行っておらず、個々の患者様の状態に応じた治療(内服治療・外用治療など)を行っております。今後の報告の蓄積をみて、検討してまいります。

内科的治療

【塩化アルミニウムによる外用治療】
塩化アルミニウム(保険適応なし)は液体の塗り薬で、汗が光る程度(レベル 1)の状態であれば、塗布により手汗を止める効果が認められます。しかし、盛んに手の汗が出る状態では、塗ったそばから薬液が流れ落ちてしまうため、効果が表れにくくなります。また、塗布した後に皮膚が厚ぼったく感じるなどの違和感があること、皮膚がかぶれてしまうなどの副作用のために、継続できない方も多い治療法です。市販の制汗剤のほとんどが塩化アルミニウム主体です。

【イオントフォレーシス】
イオントフォレーシス(保険適応あり)は、手のひらや足裏を水道水の入った容器の中に浸し、微弱な電流を20分間程度流す方法です。はじめは連日、汗の量が減ってきたら数日間毎に繰り返します。軽症から中等症の多汗症までの方に有効とされています。ただし根治的治療ではないため、継続的に治療を続けなければなりません。尚、当院では行っておりません。

【ボトックス注射による注射療法】
ボトックス注射(保険適応なし)は、エクリン腺の活動を抑制して過剰な汗の分泌を抑える治療です。重症度に応じた投与単位数に統一の見解がなく、施術の際の痛みのコントロールも難しいことなどから、保険適応外治療となります。効果持続は長くて半年程度とされますが、2週間程度しか効果がないという方もいらっしゃいます。尚、当院では行っておりません。

【内服治療】
内服治療(保険適応あり)としては、抗コリン薬と漢方薬が使用されています。唯一保険適応があるのは臭化プロバンテリン(商品名;プロバンサイン)です。その他オキシブチニン(商品名;ポラキス)、コハク酸ソリフェナシン(商品名;ベシケア)などがありますが、効果の程度にはばらつきがあります。また口の渇きや眠気などの副作用があります。漢方薬として防已黄耆湯などが使用されることがあります。手掌多汗症の患者様は、発汗に対する恐怖心で情緒不安定になることがあり、自律神経失調症に効果のあるトフィソパム(商品名;グランダキシン)や抗不安薬で抗コリン作用をもつパロキセチン(商品名;パキシル)が有効との報告があり、これらの薬を使用することがあります。一定の効果が認められますが、重症の方に対しての効果は限定的です。

治療の流れ

四谷メディカルキューブでは、手のひらの多汗症の内視鏡手術を受ける患者さまの初診から手術・術後フォローを、基本的に以下のように計画し、実施しています。

外来初診

多汗症の程度を診察して適切な治療法を決定します。
まずは同じ症状をもつ患者様に多汗症とその手術について合同の説明をさせていただきます。
その後、順次お一人ずつ、症状の診察と充分なご説明をさせていただきます。
手術が必要と判断された場合には、手術日を決定して、その日のうちに術前の検査と麻酔科診察をします。
初診時には検査を含め、半日程度かかります。予めご了承ください。

手術日当日あるいは前日

標準的には手術の当日に来院していただき、そのまま手術となります。
手術時間は左右両側を施行したとしても計10分~20分程度です。麻酔の準備と術後の覚醒時間をいれて、手術室の滞在時間は40分ほどです。
麻酔は全身麻酔で行います。当院では手術中の変化に即座に対応できるよう、麻酔科指導医(麻酔科専門医を育成・指導する立場にある)が、
手術体制を整えています。

手術室を出てからは宿泊室で休んでいただきます。約40%の方が手術日に1泊入院され、約60%の方が日帰り手術として手術当日に退院されています。

手術後

術後は宿泊室で3~4時間程度安静にしていただきます。基本的には日帰りでの対応としていますが、遠方の方や一人暮らしの方には、入院をお勧めしています。ご希望に応じて対応いたします。
・手術当日は、指示された時間にご来院ください。
・手術終了後は、安静もしくは入院するお部屋に移動していただきます。
・手術中にしぼませた肺が完全にふくらむまで、咳をしたり、大きく呼吸をすると胸部に痛みがでることがありますが、数日間で回復いたします。
・術後1か月程度は発汗の状態が落ち着かない時です。経過をみてください。
・通常、術後3か月目に外来受診いただきます。

当院での治療実績について

2020年度 胸腔鏡下交感神経節切除術 911
2019年度 胸腔鏡下交感神経節切除術 856
2018年度 胸腔鏡下交感神経節切除術 709
2017年度 胸腔鏡下交感神経節切除術 492
2016年度 胸腔鏡下交感神経節切除術 394
2015年度 胸腔鏡下交感神経節切除術 450
2014年度 胸腔鏡下交感神経節切除術 488
2013年度 胸腔鏡下交感神経節切除術 385
2012年度 胸腔鏡下交感神経節切除術 388
2011年度 胸腔鏡下交感神経節切除術 249

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