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乳がんとは

乳房にできる悪性腫瘍の総称で、組織検査(名称)や遺伝子検査(強さや変異)によって複数のタイプに分類されます。

診断されるタイミング(進行度)や患者さまの体調もさまざまで、進行速度や治療薬の効果、再発の可能性なども大きく異なります。

乳がんは世界の悪性腫瘍の中で最も多く、日本人女性が乳がんになる可能性は11%と、9人の1人の確率で毎年10万人の方に見つかっています。

日本人女性の乳がんの特徴としては比較的若い世代にも多く、20代から増えはじめ、40~60代でピークとなります。

悪性腫瘍は良性腫瘍とは異なり、周囲の内臓組織のルールに反して増大し(浸潤)、血流やリンパの流れに乗って、離れた臓器に移動して増殖することもあるため(転移)、進行すると身体機能が保てなくなり、命に関わります。

乳がんの症状

症状に気付いて乳がんが見つかった患者さまは全体の半数ほどですが、早期であるほど無症状のことも多いです。

さまざまな症状がお知らせとなり、同じ症状でも、良性の時も悪性の時もあるため、「いつもと違う」という点が重要です。

当院で乳がんと診断された患者さまは、乳房のしこりで気付いた方が最も多く、次いで痛み、違和感、皮膚の変化、乳頭からの分泌で見つかる方もいます。

しこり

乳房の中のかたまりとして気付きますが、乳がんでも硬いもの、柔らかいもの、丸いもの、ゴツゴツとしたものと形状はさまざまです。

周囲との区切りがはっきりしない場合もあり(硬結)、動いた時の皮膚の突っ張り感で気付かれる方もいます。

個人差はあるものの、正常でも乳房にしこりがある場合は多いため、「いつもと違う」ようであれば、受診をおすすめします。

以前に検査を受け、「良性」といわれたしこりでも大きくなる時には、再度検査が必要です。

乳房の痛み・違和感

乳房に多い症状として、鈍い痛み、鋭い痛み、ピリピリとした痛み、痛みと言うまではない違和感、張り、その他いろいろな感覚があります。

「乳がん=とても痛い」ということでもなく、困らないけど最近気になってきて乳がんが見つかることも多々あります。

月経前症候群(PMS)としても痛みや緊満感は多く、さまざまな病気の症状となるため、定期的な検査や治療が大切です。

いつもとは異なる痛みや月経周期に関連しない痛みは注意が必要です。

皮膚の変化

乳がんのタイプには周囲を引き込むものがあり、皮膚のしわやくぼみ、ひきつれが症状となることがあります。

また、周囲に炎症が起き、かゆみや熱感、湿疹ができて乳がんと分かる場合もあります。

さらに、しこりはつくらず、皮膚が赤く腫れる炎症性乳がんというものもあります。

乳頭からの分泌物

授乳期以外に乳頭より分泌が出る場合は、乳がんへの注意が必要です。

分泌物の色は透明、母乳のような色、黄色、赤、黒い血液のようであったり、さまざまです。量も、乳頭についていることがある程度から、押すと出るもの、何もしなくても下着に付着するほどなど、さまざまです。

原因は、乳頭に繋がる乳管の炎症やホルモンバランス、良性・悪性を含めた腫瘍と多岐にわたります。

検査を受け、腫瘍がないときも分泌が続く場合には、後から乳がんとなるケースもあるため、定期的な検査が大切です。

乳頭・乳輪部のただれ

乳頭や乳輪が赤くただれたり、かゆみで見つかる乳がん(乳房パジェット病)、乳房内にできた乳がんが乳頭まで広がって症状が出ることがあります。

湿疹と見分けがつきにくい時もあるため、治療しても治らない時は乳がんを疑う必要があります。

乳頭の陥没

乳頭の奥や近くに乳がんができた時にしこりは分かりにくく、乳頭の固定や大きく腫れた感覚、陥没が症状となることがあります。

乳房のかたち

元々乳房にしこりが多い場合は、乳がんができても触って判断するのが難しく、乳房の形が変わったり、腫れたりして気付くこともあります。

また、乳がんのタイプによってはしこりをつくらないものがあり、この場合も乳がんが乳房内に薄く広がっていくため、形や大きさに左右差が出ることがあります。

わきの下の腫れ・しこり

乳がんがわきのリンパ節に転移し、わきの下のしこりや腫れで気付くことがあります。

また、脇には副乳と呼ばれる乳腺がある方も多く、この副乳に乳がんができることもあります。

病期と治療の選択

どのようなタイプの乳がんが、どの段階で見つかったかを判断し、治療方法を選択します。

乳がん治療の基本は手術であり、最も完治が得られる治療です。

さらに、薬物治療や放射線治療を組み合わせることで、完治率を高めます。

乳がんの病期(ステージ)について

乳がんの大きさ(T:浸潤のサイズ、皮膚や筋肉への広がり)、脇などのリンパ節への転移の有無(N)、乳房から離れた臓器への転移(M:遠隔転移)を判定し、ステージを0~4に分類します。

他の臓器への浸潤や転移する性質をもつ前段階の乳がんである非浸潤がん(上皮内がん)であれば、大きさにかかわらず、ステージは0となります。

ステージ分類の考え方
画像検査による治療前ステージと薬物療法や手術後の病理ステージで判定が変わることがあります。
ステージは乳がんの進行具合や量を反映し、そこに乳がんのタイプを組み合わせて、治りやすさや治療方法を判断します。
同じ早期の乳がん(ステージ1)でも、治りにくいものや抗がん剤を必要とする場合もあります。

治療の選択方法

早期の乳がんの治療方針としては、先に手術を行う場合と先に薬物治療を行う場合があります。

完治率をもとにした治療計画を患者さまの事情や想いに合わせて最適化し、開始します。

乳がんのタイプは、組織型(名称)、女性ホルモンへの反応(ER、PgR)、ハーツー増殖シグナル(HER2)のはたらき、増えるスピード(Ki67 index)などを参考に判断します。

治療前ステージ0の非浸潤がんでは、どのタイプであっても手術を先に行います。

分類 詳細
女性ホルモン受容体陽性・ハーツー陰性タイプ: ER+ PgR+/− HER2− ステージ1の場合は手術を先行して行うことが多く、術後にホルモン療法を行うのが基本です。また、追加の遺伝子検査(オンコタイプDx)の結果などに応じて、化学療法も推奨することがあります。
ステージ2以降では、乳がんの大きさや場所、温存手術の希望やその他の状況などに応じて、ホルモン療法を先に行う場合や、悪性度が高い時やリンパ節への転移がみられる時には、化学療法を先に行うこともあります。また、術後のリンパ節転移が複数の場合は、内服の化学療法や分子標的薬(CDK4/6阻害薬)を追加することがあります。これは、ルミナルと呼ばれることもあるタイプです。
ハーツー陽性・女性ホルモン受容体陰性タイプ: HER2+ ER− PgR− ステージ1であっても、HER2に対する分子標的薬と化学療法を組み合わせた薬物治療を先に行うことがあります。
HER2に対する分子標的薬は複数開発されています。術前に薬物治療を行い、乳がんの縮小効果を判断した上で、必要に応じて手術後は別の分子標的薬を用いることで完治率が高まります。
ハーツー陽性・女性ホルモン受容体陽性タイプ: HER2+ ER+ PgR+/− 女性ホルモン受容体陰性のハーツータイプと同じような治療計画となりますが、分子標的薬と化学療法による乳がん縮小効果がやや落ちる時があるため、術後はホルモン療法も併用して治療を進めます。
女性ホルモン受容体陰性・ハーツー陰性タイプ: ER− PgR− HER2− トリプルネガティヴと呼ばれることが多く、ステージ1でも化学療法を手術前に行うことがあります。
ステージ2以降は、先に化学療法を行うことが多く、乳がんの縮小効果を判断した上で、術後にも内服の化学療法などの薬物治療を追加することがあります。
また、免疫に関連する薬(免疫チェックポイント阻害薬)を併用することもあります。
BRCA遺伝子変異陽性タイプ

遺伝性乳がんの原因の1つとなる、BRCA1/2遺伝子の検査を受け、乳がんのなりやすさと関連する体質である場合、乳がんがハーツー陰性で再発リスクの高い時には分子標的薬(PARP阻害薬)も追加することがあります。

ハーツー低発現タイプ

ハーツーが免疫染色検査で1+/2+の判定、遺伝子増幅検査では陰性のタイプ。ハーツーのレベルが変わることがあり、今後は抗体薬物複合体などの分子標的薬の対象となる可能性があります。

  • ER, Estrogen receptor; PgR, Progesterone receptor; HER2, Human epidermal growth factor type 2 ヒト上皮増殖因子受容体2型

治療法の実際

治療の基本となる手術は、乳房温存手術(乳房部分切除術)と乳房全摘術(乳房切除術)の2つに分けられます。

乳がんの広がりに応じて選択し、がんの摘出が可能であれば、これら2つの方法に生存率の違いはありません。

手術前に薬物療法を行うことで、大きいしこりでも温存手術が可能になる場合も増えています。

通常は、脇のリンパ節の手術を組み合わせて行います。

乳房温存手術

手術方法
乳がんのしこりや周囲への広がり(乳管内進展)を判断し、乳がんと周囲組織を含め、乳房を部分的に切除します。
早期であるほど摘出する範囲は少なく、乳房の形を保つことが可能です。
当院は切除した乳房部分は周りの組織を使って形成し、なるべく変形の目立たないようにしております。また、皮膚の切開についても、乳輪縁や乳房の外側・下側の境界部、皮膚のしわにあわせて最低限の長さなど、整容性の配慮に努めています(乳がんが皮膚に近い場合などを除きます)。
特徴
乳房が温存でき、全摘手術よりも身体への負担は軽くなります。
乳がんの位置や広がり、個数、タイプに応じて、乳房温存手術ができるかどうか決まります。
この判断基準は、病院によって異なります。
当院は、乳がんの大きさや個数だけではなく、乳房の形や大きさとの相対比など総合的に判断しています。
温存した乳房から、別の新しい乳がんが将来できる可能性はあるため、必要に応じて放射線治療を追加します。

乳房全摘術

手術方法
乳房を全て切除する手術です。
通常は乳がんを含めた乳房内全ての組織、乳頭乳輪、しこり周辺の皮膚も摘出するため、胸の膨らみはなくなります。
近年では全摘時に生理食塩水バッグを入れて膨らみをつくり、将来、シリコンインプラント(または別部位の自己組織)へ入れ替える手術が可能となっていますが、長期の安全性(稀なリンパ腫など)や手術の負担が増すため、当院では行っておりません。
同時再建をご希望の患者さまには推奨できる病院を紹介させていただきます。
特徴
乳がんの広がりを問わず、乳がんを摘出することが可能です。
乳がんが皮膚や筋肉へ広がっている時には、手術前に薬物療法を行うこともあります。
乳房を全て摘出するため、別の新しい乳がんが将来できる可能性は、手術をしていない方の乳房からのみとなります。
リンパ節への転移が多い時など、必要に応じて放射線治療を追加します。

腋窩リンパ節の手術

乳がんが最初に転移しやすいのは、脇のリンパ節です。
術前の検査ではっきりした転移がみられない場合は、「センチネルリンパ節生検」といって、乳房から脇へのリンパの流れを調べて、最初にがんが転移する可能性があるリンパ節を数個のみ摘出します。
一方、術前の検査でリンパ節への転移がみられる場合は、「腋窩リンパ節郭清」といって、脇のリンパ節を一定数切除します。

入院スケジュール

DAY1:入院・手術・食事 DAY2:シャワー DAY3:退院

手術後の回復力を高める入院生活

手術前処置はありません。
下剤・浣腸・術前点滴の使用を控え、ストレスフリーで歩いて手術室に入室します。
手術後の痛みと吐き気の軽減に努めています。
鎮痛薬を積極的に用いた疼痛管理と国際的ガイドライン推奨の薬による嘔気対策を実施しています。
手術当日から食事を開始します。
手術当日の夕食から経口摂取が可能となります。
手術後1日目からシャワー浴ができます。
シャワー・トイレ付きの個室で、普段と変わらない生活に向けて全身の回復を促します。

治療実績

当院にて無症状で乳がんが見つかった場合の腫瘍浸潤サイズは平均7mmであり、早期発見に努めています。また、乳がんの確定診断にいたった患者さまの約8割が、そのまま当院での治療を希望され、多くの方が乳房温存手術を受けています。

  • 1

    各種生検・手術件数(NCDベース)

    274
    2022年1月~12月

  • 2

    乳房温存率

    97%
    2022年1月~12月

  • 3

    外来化学療法

    のべ209名
    2022年1月~12月

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担当医師は曜日・時間により異なります。

外来予定表でご確認ください。

しこり・張り・痛み・陥没乳頭・分泌など乳房に関するさまざまな症状や、検診での精密検査などに対して診察します。

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担当は、林 光博 医師です。

当院乳腺外科で既に治療・経過観察中の方、術後の方が対象です。

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  • マンモグラフィ+乳腺超音波+問診 視触診
    /¥12,100(税込)
  • 乳腺超音波+問診 視触診
    /¥6,600(税込)

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