子宮筋腫とは
子宮筋腫は子宮の筋層から発生する良性の腫瘍です。筋腫の位置や大きさ、複数発生によりさまざまな症状が出現します。主な症状は過多月経による高度貧血、腹部腫瘤感、頻尿などです。不妊や妊娠合併症の原因となる可能性があります。また筋腫はホルモン依存性のため閉経まで増加・増大する傾向があります。
治療法の実際
当院では低侵襲手術として腹腔鏡や子宮鏡を駆使して子宮手術を行います。子宮を温存する「子宮筋腫核出手術」と、子宮を摘出する「子宮摘出手術」があります。
子宮温存手術
- LAM 腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術
- 多発性筋腫や大きな筋腫を小さいきずで核出します。早期再発を予防する取り組みとして、術前ホルモン治療を行わずにすべての筋腫を核出しています。また妊孕性に配慮した手法を行っています。

子宮摘出手術
- TLH 全腹腔鏡下子宮全摘術
- 腹部創部は5mmのきず3ヶ所から子宮を摘出し、膣から子宮を回収します。

- LAH 腹腔鏡補助下子宮全摘術
- 開腹手術が適応とされるような大きい子宮や未産婦などの子宮回収困難な方には、腹腔鏡と小さいきずを組み合わせた子宮摘出術を行っています。

- vNOTESー子宮全摘術(腟式腹腔鏡下子宮全摘術)
- 腹部に傷が全くできない、腟からの腹腔鏡手術です。術後の痛みも少ない手術です。保険適用で行えます。

手術までの流れ

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- 初診
- 症状と持参された検査画像(エコー、MRI)にて病状を把握します。
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- 手術決め外来
- 手術日を含めた今後の日程と術式を決定します。
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- 手術前検査
- 手術に必要な検査(採血、採尿、心電図検査、レントゲン検査、50歳以上の方は心臓エコー)を行います。
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- 手術説明の外来
- 手術方法や手術で起こりうる合併症について説明します。必ずご家族と一緒にご来院ください。
- 麻酔科外来
- 手術は全身麻酔で行います。麻酔の方法を麻酔科医師が説明します。
- 入院説明
- 持ち物や入院費用、手術当日の来院時間について説明します。
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- 入院・手術
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手術日の当日に入院します。
手術当日は、手術終了後に医師が説明するまで、ご家族は病室で待機していただきます。

入院スケジュール

手術後の回復力を高める入院生活
- 手術前処置はありません。
- 下剤・浣腸・術前点滴の使用を控え、ストレスフリーで歩いて手術室に入室します。

- 手術後の痛みと吐き気の軽減に努めています。
- 持続硬膜外麻酔(写真)を使用した疼痛管理と国際的ガイドライン推奨の薬による嘔気対策を実施しています。

- 手術当日もしくは翌日から食事を開始します。
- 手術当日の夕食または翌日の朝食から経口摂取が可能となります。

- 手術後2日目からシャワー浴ができます。
- シャワー・トイレ付きの個室で、普段と変わらない生活に向けて全身の回復を促します。

入院費用の概算(3割負担)
- 子宮温存手術
- 240,000~280,000円
- 子宮摘出手術
- 270,000~300,000円
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※高額療養制度の対象です。別途、差額室料がかかります。