8. 鼠径部ヘルニアの手術方法
鼠径部ヘルニアの根本的な治療は手術です。日本では年間16万人の患者さまが手術を受けられています。症状が軽度な方は経過観察で対応することも可能ですが、経過観察を行った場合、5年以内に70%の患者さまに症状が現れ、その後手術を希望するという報告もあります。
*当院では、最新の国際的な鼠径部ヘルニアガイドライン(Update of the international HerniaSurge guide-lines for groin hernia management. BJS Open 2023など) に沿って治療を行っています。
当院では、突出した腸管を元の場所に戻し、メッシュ(人工膜)を使用してヘルニア門を閉鎖する手術を行っています。術式は、ポートと呼ばれる筒を用いてカメラや手術器具を体内に入れ、3ヶ所の小さい創で行う腹腔鏡手術を第一選択としています。
ただし、前立腺手術の既往がある方や、心肺機能の面で全身麻酔に耐えられない方には、鼠径部を4~5cmほど切開する鼠径部切開法を行うこともあります。また腹腔鏡手術で開始しても、癒着等で剥離が困難と判断された場合には鼠径部切開法に変更いたします。
腹腔鏡下鼠径部ヘルニア修復術
手術方法
5mmまたは10mmほど切開したおへそ(臍)から腹腔鏡(カメラ)を挿入し、二酸化炭素で腹腔内を広げたのちに鼠径部を観察します。さらにおへそから8cmほど離れた左右に5mm程度の切開をし、2つの鉗子を用いて腹腔内から鼠径部へアプローチします。
鼠径部の腹膜を剥離してから突出した腸管を元の場所へ戻し、開いたヘルニア門を15✕10cmほどの大きいメッシュで閉鎖します。正しい層で剥離し、なるべくメッシュを強く固定しないことで、手術後の再発や疼痛の軽減を目指しています。
特長
- 鼠径部を一望できるため、さまざまなタイプのヘルニアに対応
- 高解像度4Kカメラを使用して拡大視で手術を行うため、出血や神経損傷が少なく済む
- 外科手術用次世代内視鏡ホルダロボットIvyA1®を用いて、安定した術野で手術が可能
- 両側に鼠径部ヘルニアがある場合にも、3ヶ所の小さい創で同時に修復ができる
- 入院期間は日帰りまたは1泊2日で、日常生活への早期復帰が可能
- 手術後の疼痛が少ない
- 再発リスクは1%以下
鼠径部切開法
手術方法
膨らんでいる方の鼠径部を4~5cmほど切開して、直接患部(ヘルニア)をみながら手術を行います。突出した腸管を元の場所へ戻し、開いたヘルニア門をメッシュで閉鎖します。
特長
- 過去に前立腺手術を受けられた方や、心肺機能に異常がある方へ選択される手術
- 腹腔内の癒着に影響されることなく行える
- 入院期間は日帰りまたは1泊2日