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代償性発汗とは

手掌多汗症に対して胸腔鏡下交感神経遮断術(ETS)を実施した方に見られる副作用です。ETSを受けた90%の方に代償性発汗が出現するとされており、おもに暑い時や運動した時の汗の量が増える状態を指します。発汗が認められる範囲は、エクリン腺の分布の多い胸・背中・胴回り・大腿部・膝裏が多いですが、他の部位から出ることもあります。手術前の手汗の量とは相関がありません(術前に手から出ていた汗の量が、他のところから出るわけではありません)。

代償性発汗は、他の部位からの汗が少し増えたと感じる程度から、日常生活に支障を来すほどの発汗まで、個人差が非常に大きい病態です。

当院では、代償性発汗のリスクに関する最善の情報を患者さまに提供できるよう努めてまいりますが、代償性発汗が、どの程度、どの部位に出現するかを手術前に完全に予測することは、現時点では不可能であり、代償性発汗を無くすための有効な治療方法もありません。

そのため、ETSの副作用である代償性発汗のリスクについて十分ご理解いただいた上で手術実施のご判断をいただくことがなにより重要であると考えております。

当院での手術を選択する際は、以下を考慮して判断することが大切です。

  • どれだけ手汗に困っているか
  • 手汗が我慢できず、日常生活に支障があるか
  • ETSの副作用である代償性発汗のリスクを十分に理解しているか

代償性発汗を軽減するための対応

手術時に術後の代償性発汗を減らすための様々な工夫が一部の施設において行われていますが、医学的なエビデンス(この治療法がよいといえる証拠)に基づくものではありません。

現在、試みとして行われている主なものとして、2つの方法があります。ご希望に沿って対応します。

T3もしくはT4の交感神経幹のみを遮断する。

以前は、T2・T3・T4の交感神経幹遮断術が多く行われていましたが、重度の代償性発汗が多くの方に認められたため、現在ではT2の遮断は行われなくなりました。そのため、現在はT3・T4の交感神経幹の遮断が国際標準の治療となっておりますが、T3もしくはT4の交感神経幹のみを遮断する治療が試みられています。どちらか一方だけ遮断した場合、十分に汗が止まらない方や、時間の経過で手汗が再発してきたという方が報告されています。当院でも、患者さまの希望によりT4のみの遮断を50人の方に行いましたが、結果的に18人の方に十分に汗が止まらなかったという理由でT3の遮断を追加しています。追加で手術を行う場合、癒着により手術を完遂できない可能性があります。2回目の手術を受けた場合にも保険は適用されますが、費用は1回目と同程度です。

片側(利き手)から手術して、一定期間をあけたのちにもう片方を手術する。

片側を遮断した後の代償性発汗の程度をみて、ひどくなければもう片方を手術するというもので、主に日本で行われています。しかし、片側のみに代償性発汗が認められるという状態が苦痛だと感じられる方も少なからずいらっしゃいます。特に、顔の半分のみに汗が出たり、逆に止まっている状態というのが非常に苦痛であると訴えられます。片側のみ手術を受けても、両側の手術を受けても、手術費用は同額です。反対側の手術を受ける場合にも保険は適用されますが、費用は結果として2倍かかることになります。

代償性発汗の治療

当院では、患者さまの状態に応じて内服治療や外用治療、ミラドライ治療を行っています。

内服治療

プロ・バンサイン(一般名:プロパンテリン臭化物)の内服を行います。神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを妨げる薬で(抗コリン薬)、多汗症に対する内服薬として唯一保険適用となっています。緊張などで代償性発汗が誘発される場合、自律神経調整剤であるグランダキシン(一般名:トフィソパム)の内服を併用することがあります。プロ・バンサインの副作用として、目のかすみ・口の渇き・頭痛・眠気などを感じることがあります。併存疾患により、処方できない場合があります。

外用治療

塩化アルミニウム製剤、塩化アルミニウム製剤、抗コリン製剤の外用を行います。代償性発汗は、通常の発汗よりも発汗速度が速く、外用治療による効果を認めにくい場合があります。

ミラドライ治療について

ミラドライは、マイクロ波を用いて汗腺(エクリン腺・アポクリン腺)を焼灼・凝固させる治療です。日本では、原発性腋窩多汗症に対してのみ薬事承認を取得しています。原理的に汗腺の存在する他の部位に対しても安全に施術可能であり、当院では2022年7月より代償性発汗に対するミラドライ治療を行なっています(自費診療)。

施術時間
3時間30分程度
施術方法
局所麻酔で行います。1回の治療で3時間の照射が可能(ミラドライの設定のため)です。当院オリジナルのテンプレートを用いて、1度にA4サイズまでの範囲の治療が可能です。局所麻酔の範囲が広いため、注射に伴う痛みが出現します。鎮痛剤・鎮静剤を使用すれば、痛みをほとんど感じることなく施術が可能です(料金別途)。ご希望に応じて対応いたします。
ダウンタイム
施術部の痛み:当日~数日間で消失します。
内出血:1週間~2週間程度でおおくは消失します。
施術部のむくみ:術後1週間は治療部のむくみが生じます(体位によりむくみの位置が変化します)。
シャワー
当日から可能
入浴
3日後から可能

ミラドライ治療を希望される場合には、以下のことをご理解していただく必要があります。

  • ミラドライは腋窩多汗症に対してのみ薬事承認が取得されており、代償性発汗に対しては承認が取得されていません。当院の倫理委員会の承認のもと、臨床研究として実施しています。
  • 代償性発汗に対する内服治療・外用治療を行っても、コントロールが不良な方。
  • ヨードでんぷん反応などで代償性発汗の範囲が特定できる方。

ペースメーカー、他の電子機器が埋め込まれている方、治療部位の近くに金属製のインプラント等が埋め込まれている方、治療部位に刺青のある方、治療部位に悪性腫瘍または皮膚悪性腫瘍がある方、妊娠中の方は治療ができません。また、局所麻酔薬にアレルギーのある方、創傷治癒に問題があると判断した場合も治療はできません。手術後などで治療部に瘢痕組織のある方、もしくは感染性の皮膚疾患のある部位は治療を行えないことがあります。

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