一般的な診断の流れ
乳腺専門外来にて初診時より専門医が担当させていただき、チーム医療で検査・診断を行っております。女性専用フロアであるウィメンズセンター内にマンモグラフィや超音波などが設置され、専用検査着を 用意、必要に応じて、各種生検も初診日に行うことが可能です。

検査費用の目安
自覚症状がある場合や市町村・会社の検診で異常を指摘された場合は、保険診療となります。
3割負担の方で初診時の概算費用は以下の通りです。
- 診察
- 880円
- エコー検査
- 1,050円
- マンモグラフィ
- 1,690円
- MRI検査(造影)
- 7,000円
- 細胞診+病理検査
- 3,000円
- 組織診+病理検査
- 7,000円~22,000円
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※乳がんの場合には病理検査費用の追加が生じることがあります。
診断機器・各種遺伝子検査
マンモグラフィ、超音波、MRIなどの画像結果やこれまでの経過をもとに、乳がんの可能性に応じて細胞診や組織診といった生検を行います。
乳がんであった場合には、PET/CTや各種遺伝子検査を行い、完治に向けた治療方針を相談します。
マンモグラフィ検査
乳房専用のX線撮影のことで、スクリーニング検診から精密診断、経過観察に重要な検査です。
乳房に対して上下左右(CC:頭尾方向、MLO:内外斜位方向、追加スポットなど)から圧迫し、撮影を行います。
塊のように映る腫瘤や左右非対称となっている影、ひきつれ・ゆがみ、石灰化などを調べます。
食事などの特別な制限はありませんが、豊胸術後の方は撮影可能かの判断が必要です。
検査時間は15分程度です。

超音波検査(エコー)
身体に害のない高周波音を用いて腹部などと同じように、プローブとゼリーを乳房の表面に添わせ、内部を調べます。超音波による検査のため、放射性被爆はありません。
この検査はしこりの内部を調べるのに優れており、エラストグラフィ(硬さの検査)やドップラ(血流の検査)を適時併用し、乳がんのみならず、良性腫瘍や前がん病変も調べることができます。
マンモグラフィと超音波検査はそれぞれ異なる利点があるため、精密検査では通常両方の検査を行います。
食事などの特別な制限はなく、検査時間は15分程度です。
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※エラストグラフィで評価したしこりの硬さは、乳がんの性質と関係しています。乳腺外科 科長 林光博医師は化学療法の効果と関連する可能性を世界で初めて報告しています。
Hayashi et al Ann Surg Oncol 2012, Medicine 2015

MRI検査
MRI検査は磁力を用いて、乳房内を立体的に調べる検査です。
放射性被爆はありませんが、詳しく調べるためには造影剤を用いるため、腎臓機能や喘息・アレルギーの有無は事前に確認します。
乳がんを発見するのに最も優れた検査であり、また手術を決定するために病変の広がりを見極めるのにも適しています。
体内に金属がある場合は検査ができない場合があります。また、検査時間によって食事制限もあります。
検査時間は15~30分程度です。

PET/CT検査
細胞の代謝を画像化する「PET」と臓器の形・位置がわかる「CT」を合わせた検査で、全身の多種類のがんを調べることができます。
がん細胞が多くのブドウ糖を使う性質を利用し、ブドウ糖に類似した少量の放射線物質を注射して行う検査です。
乳がん診断後は、リンパ節や体内への広がりを調べ、他の病気を合併していないかを調べるのに用いられます。
撮影時間は20分程度ですが、検査前後の待機時間を含めると、約2時間要します。また、食事の制限があります。
PET/CT検査が可能な病院は限られており、当院は国内有数の13万件以上の実績(2023年3月 現在)があります。

生検(細胞診、組織診)
症状や画像検査の結果をもとに、乳がんの可能性に応じた各種生検を行い、確定診断を行います。
生検の結果は数日~2週間程度かかります。
細胞診では、乳頭からの分泌物や乳房内に採血と同じ細い注射針を刺して細胞を吸引し、顕微鏡でがんの可能性を調べます。(1~5段階の判定)
適時、局所麻酔を用います。
検査時間は数分です。身体への負担も少なく簡便ですが、診断の確定が難しい場合もあります。
組織診では、専用の針生検機器や生検手術によって病変の一部を採取し、顕微鏡で調べます。
針生検には、バネ式のコア針生検CNBとたくさんの組織を吸引・採取できる吸引式組織生検VABがあります。
当院は最新の「BD EleVation」と呼ばれる吸引式組織生検を導入しており、小さな病変や細胞診で診断しにくい病変にも有効で、初診日に行うことも可能です。
針生検は画像検査を併用しつつ行います。検査時間は約10~30分です。
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※「乳がん」といってもそのタイプはさまざまであり、針生検でがんの有無を調べるだけでなく、乳がんのタイプも同時に調べています。
手術を先にするのか、薬物療法を先にするのかなど、完治の可能性がより高い治療法を検討していきます。
遺伝性乳がん検査:HBOC(BRCA1/BRCA2遺伝子検査)
乳がんの発病にはさまざまな遺伝子が関わっています。
その中の1つであるBRCA1、BRCA2遺伝子は情報がよく調べられており、血液検査で体質としての乳がんのなりやすさを調べることができます。(遺伝性乳がん卵巣がん症候群HBOC)
所定の条件に該当する場合は保険が適用されますが、それ以外は全額自費の検査となります。
オンコタイプDX再発スコア検査(抗がん剤使用の是非)
女性ホルモン受容体陽性乳がんの治療において、抗がん剤を使用するか否かは判断が難しい場合があります。
この場合には摘出組織を使って、追加で複数の遺伝子のはたらきを調べ、再発の可能性や抗がん剤治療の上乗せ効果を調べることができます。
乳腺診療に関わる施設概要
施設認定
当院は都市型先端医療センターとして、検査、手術、薬物療法まで、1つの施設で完結し(ワンストップ)、複数の病院を回る患者さまの負担を軽減できます。
また、紹介状なしに受診できる日本乳癌学会認定施設であり、都心でも限られた病院です。
- 日本乳癌学会認定施設
- 日本乳がん検診精度管理中央機構マンモグラフィ検診施設画像認定施設

手術室
当院の手術室は全部で4部屋あります。
専門性の高い高度な技術・実績をもった医師が、それぞれの分野に特化した手術を年間約3,000件行っています。
麻酔科は、日本麻酔科学会の認定施設であり、専門医・指導医資格をもつ女性の常勤医師が中心となり、全身麻酔を行っています。

化学療法
女性専用フロアであるウィメンズセンター内にて、外来通院での分子標的薬や抗がん剤などの化学療法を行っています。

療養環境
当院の入院宿泊室は全室シャワー・トイレ付きの完全個室です。
周囲の目を気にすることなく、静かな環境でリラックスして過ごすことができます。
また、入院中はフランス料理の巨匠 三國清三シェフ監修の院内レストラン「ミクニマンスール」で調理した食事を自室にてお召し上がりいただけます。

