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糖尿病とは

糖尿病とは、血糖値を低下させるホルモンである「インスリン」の作用が不足することにより、慢性的な高血糖状態となる疾患です。インスリンの作用が不足する原因には、膵臓からのインスリン分泌量の減少とインスリンの効きが悪くなること(インスリン抵抗性)が知られています。

糖尿病には1型と2型糖尿病があり、その大部分が2型糖尿病です。1型糖尿病は、糖尿病全体の5%以下と考えられており、インスリンを分泌する膵臓の細胞(膵β細胞)が自己免疫の機序で壊されて発症します。そのため、多くの場合、インスリン注射が必要となります。

一方、2型糖尿病は、肥満や運動不足といった生活習慣の変化と遺伝的な素因が組み合わさって発症し、加齢とともに患者数は増加します。とくに、肥満や運動不足はインスリン抵抗性の原因となり、生活習慣病と呼ばれる所以です。

糖尿病はこれ以外にも、ステロイドなどの薬剤、肝硬変、慢性膵炎、ある種の遺伝子異常などで発症する場合や、妊娠を契機に発症する妊娠糖尿病もあります。

血糖コントロールの指標について

血糖コントロールの指標として最も用いられるのは、ヘモグロビンA1c(HbA1c)です。酸素を運ぶ赤血球を構成するヘモグロビンというたんぱく質に血液中のブドウ糖が結合したものです。赤血球の寿命が約90日であることから、採血した日から過去1~2ヶ月間の平均血糖値を表す指標といわれています。

糖尿病患者さまの血糖コントロール目標は、血糖正常化を目指す際のHbA1cは6.0%未満、合併症予防のための目標は7.0%未満、強化治療が困難である場合の目標は8.0%未満とされています。

ただし、HbA1cは赤血球の寿命が変化するような疾患(貧血、肝硬変、透析中など)がある場合は、正確な血糖コントロールの評価が困難となります。その際に使用されるのが、「グリコアルブミン」です。グリコアルブミンは、血液中のアルブミンというたんぱく質にブドウ糖が結合したもので、採血した日から過去2週間の平均血糖値を示す指標です。

糖尿病が引き起こす病気

糖尿病はほとんど症状のない病気ですが、血糖値が高い状態が続くと、全身の血管を傷つけるため、さまざまな合併症を引き起こします。細い小さな血管が傷ついた結果生じるものには、眼の障害(網膜症)、腎臓の障害(腎症)、神経の障害(神経障害)があります。また、大きな血管が傷つくと、脳の血管障害(脳卒中)、心臓の血管障害(心筋梗塞・狭心症)、足の血管障害(閉塞性動脈硬化症・足壊疽)が起こります。

眼の合併症(糖尿病網膜症)

高血糖状態が長期間持続すると、網膜の毛細血管が障害され、もろくなります。その結果、網膜に点状の小さな出血や毛細血管に瘤(こぶ)ができることがあります。これを単純網膜症といいます。

単純網膜症であれば良好な血糖コントロールにより改善しますが、さらに進行し、網膜の血管の閉塞によって酸素が欠乏した状態(増殖前網膜症)になると、新生血管(新しくできあがった脆弱な血管)が網膜の中で作られ、それが切れたり、縮んだりすることで硝子体に出血や網膜の剥離を引き起こします。これを増殖網膜症といいます。

増殖網膜症まで進行すると急激に視力が低下し、放置すると失明に至ります。

増殖前網膜症への移行時には、新生血管ができないようにレーザー治療が行われ、眼科医の治療が必要となります。

腎臓の合併症(糖尿病腎症)

高血糖状態が長期間持続することで、腎臓の糸球体(血液中の老廃物や塩分をろ過する場所)に障害が生じます。腎障害が進行すると、尿中にたんぱくが出現し、高血圧や足のむくみなどの症状が出現します。

尿たんぱくが微量な段階では、良好な血糖コントロールにより腎症は改善しますが、進行すると血糖コントロールでもその進行を抑えきれなくなり、腎不全から尿毒症となり、人工透析が必要になります。腎症の治療は、血糖コントロールの他、血圧、脂質、体重管理がとても重要です。

また、過剰なたんぱく摂取は腎臓に負担をかけるため、主治医や栄養士と相談しながら食事の仕方を考えていく必要があります。腎症の進行程度は、血中クレアチニンとクレアチニンから算出される推算糸球体濾過量(eGFR)や尿中たんぱく量で評価されますが、とくにeGFRが低下すると、腎臓から排泄される薬剤の投与量に調整が必要です。

神経の合併症(糖尿病性神経障害)

高血糖状態が長期間持続することで、神経細胞への血流が悪くなり、感覚神経や運動神経、自律神経の細胞が障害され、神経障害が発症します。

感覚神経障害の症状は、足先から出現し、足裏のビリビリとする異常感覚などが生じます。自律神経障害の症状は、下痢、便秘、排尿障害、起立性低血圧など多岐にわたります。とくに自律神経の障害が顕著になると、低血糖が起きても発汗や動悸などの交感神経の症状がなくなり、無自覚低血糖を引き起こします。無自覚なため、低血糖への対応が遅れ、そのまま血糖値が下がり、意識障害や昏睡などに至る危険があります。

神経障害の治療としては、まず血糖コントロールが最優先ですが、しびれなどの症状がある場合には、薬物治療が開始されます。しかし、重症の神経障害でしびれがさらに強くなると、薬物治療の効果が乏しくなり、日常生活の質が大きく低下します。そのためにも、早期発見と良好な血糖コントロール維持が不可欠です。

糖尿病と動脈硬化症について

動脈硬化症には、狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患、脳梗塞、足の動脈が閉塞する末梢動脈疾患などが含まれます。これらの疾患は、糖尿病網膜症とは異なり、糖尿病特有の疾患とはいえませんが、高血糖の程度が軽い境界型(とくに食後高血糖)でもその発症リスクが増加するとされています。

また、腹部肥満を基盤として、血糖上昇、高血圧、脂質異常症などを複数合併するメタボリックシンドロームや喫煙歴がある場合、さらに動脈硬化症が進行します。そのため、血糖コントロールだけでなく、血圧、脂質、体重、禁煙などの管理が必要となります。

その他かかりやすい病気

糖尿病は、歯周病、骨折、認知症、癌が発症する危険性も高まるため、定期的にこれらのチェックを受けることが必要です。

糖尿病の合併症には、細い血管がつまっておこる「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病性神経障害」の三大合併症や、大きい血管が傷ついておこる「脳血管障害」「心筋梗塞」「狭心症」「閉塞性動脈硬化症」「足壊疽」があります。

糖尿病の原因

正常の状態では、食事をすると血液中のブドウ糖(血糖)が上昇し、膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンは肝臓、筋肉、脂肪組織に作用し、血液中のブドウ糖を取り込み、血糖値を一定の範囲におさめる働きがあります。2型糖尿病の原因としては、インスリン分泌低下(膵臓で十分なインスリンを作れない状態)とインスリン抵抗性(インスリンの効果を発揮できない状態)のふたつの要因がその発症に大きく関係します。

摂取した食事は、小腸で消化吸収されブドウ糖となります。ブドウ糖は血液に取り込まれ全身をめぐり、全身の細胞に取り込まれ、エネルギー源として使われます。血液中のブドウ糖は、その多くはすい臓から分泌されるインスリンの働きによって肝臓・筋肉・脂肪組織に取り込まれます。ところが、インスリンが不足すると、その仕組みがうまく働かないために、ブドウ糖が肝臓・筋肉・脂肪組織に取り込まれず、血液中に残ってしまうことが糖尿病の原因となります。

診断に用いる検査

診断は血液検査で行われます。血糖値やHbA1c値を調べるほか、インスリンの分泌能力などを評価することも可能です。また、1型糖尿病が疑われる場合には、抗GAD抗体の有無を調べる検査も行われます。

糖尿病の診断方法

  • 早朝空腹時血糖値126mg/dL以上
  • ブドウ糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上
  • 随時血糖値で200mg/dL以上
  • HbA1cが6.5%以上

①~④のいずれかが確認された場合は、「糖尿病型」と判定されます。

後日再検査を行い、糖尿病型が確認されれば、「糖尿病」と診断とされます。

ただし、初回検査と再検査で血糖が糖尿病型を満たしていることが必須で、HbA1cのみの反復検査では診断できません。また、血糖値とHbA1cを同時に測定し、ともに糖尿病型であれば、初回検査のみで糖尿病の診断となります。

1早朝空腹時血糖値

血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のことです。空腹時血糖値は、10時間以上食事を摂らずに空腹の状態で測定した血糖値のことを指します。
早朝空腹時血糖値は、110mg/dL未満の場合に正常型と判定されます。食事と採血時間の時間関係を問わずに測定した血糖値は、随時血糖値といいます。

2HbA1c

過去1~2ヶ月の血糖コントロール状況を反映し、当日の食事や運動など短期間の血糖値の影響を受けません。

3ブドウ糖負荷試験(必要時)

血糖値とHbA1cだけでは糖尿病の診断が確定しない場合に実施されます。この試験では、空腹の状態で75gのブドウ糖が含まれた飲料水を飲んでいただき、診断を行います。
発症早期の糖尿病では、空腹時血糖値ではなく、食後血糖値が上昇することが多いとされています。空腹時血糖値が正常、もしくは少し高いだけでも食後の血糖値が上昇していて、実は糖尿病だったということもよくあります。
空腹時採血が多い健康診断だけではなかなか早期の糖尿病が見つからないため、健康診断で血糖値が少し高いと判定された場合に有用な検査です。

糖尿病の診断には、血液検査で次の4項目を測定します。1つ目は早朝空腹時血糖値で糖尿病の方は126mg/dL以上となります。2つ目は随時血糖値で糖尿病の方は200mg/dL以上となります。3つ目は75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値で糖尿病の方は200mg/dL以上となります。4つ目はHbA1cで糖尿病の方は6.5%以上となります。

糖尿病の治療法について

肥満や運動不足が血糖コントロールに大きく影響しているため、まずは食事内容や運動の状況を再評価する必要があります。適切な食事内容や運動を実践しているにもかかわらず、血糖コントロールが改善しない場合は薬物療法が追加されます。ご高齢の患者さまの場合は、認知機能や合併症の状況をみながら、目標とする血糖コントロールを決めていきます。

内科的治療

食事療法

個人の体格、肥満の有無、活動度などを考慮し、1日に摂取すべきエネルギーの目標を決定します。管理栄養士の指導のもと、バランスよく栄養素を摂取するようにしていきます。また、糖尿病腎症を合併した場合は、タンパク質の摂取量を制限していく必要があります。

運動療法

個人の基礎体力、年齢、体重などに応じて運動の種類を決定していきます。運動を継続することが最も重要であり、毎日できる歩行などが推奨されています。膝が悪い方は、水中での歩行が膝への負担が少なく有効です。

薬物療法

様々な内服薬が使用可能です。体重を増やしにくい、低血糖を起こしにくい薬剤から使用していきます。

糖尿病発症早期の場合は1剤で良好な血糖コントロールが得られることが多いですが、罹病期間が長くなるほど、インスリンの分泌が低下していることがあるため、複数の内服薬を組み合わせて治療を行います。複数の内服薬でコントロールがうまくいかない場合には、注射薬が選択されます。1週間に1回で可能なものから、毎日注射が必要なインスリン注射まで、患者さまの病状やライフスタイルに合わせて選択していきます。

外科的治療

高度な肥満(体格指数BMIが35kg/m2以上)を合併した糖尿病では、インスリン抵抗性が強いため、糖尿病の内服薬やインスリン注射では良好な血糖コントロールが得られないことがあります。そのような場合は、減量・代謝改善手術によってインスリン注射や糖尿病薬の内服が不要となり、良好な血糖コントロールを達成できることがあります。

当院では、減量・糖尿病外科と密接に連携し、治療にあたります。高度肥満の糖尿病を合併した場合、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術もしくは、より減量・血糖低下作用が強いとされる腹腔鏡下スリーブ・バイパス術が保険診療で受けられます。

血糖コントロールの目標

糖尿病の合併症の発症予防やその進展を防ぐには、血糖値を可能な限り正常域に近づけ、良好な状態を維持することが重要となります。

血糖値を適正にコントロールするために指標として用いるのは、「HbA1c」という検査値です。血糖値は、1日の中で食事、運動、ストレスなどさまざまな影響を受けて常に変動するため、採血時から過去1〜2ヶ月間の平均血糖値を反映するHbA1cが、血糖コントロール指標として役立ちます。

日本糖尿病学会では、合併症予防のための目標値を「HbA1c 7.0%未満」、低血糖そのほかの理由で治療の強化が難しい場合は「HbA1c 8.0%未満」と示しています。

インスリン注射を施行している患者さまは、リアルタイム持続グルコース測定や間歇スキャン式持続グルコース測定を用いることで、血糖変動を容易に把握することが可能となりました。

また、高齢者の糖尿病では、さまざまな併存疾患があり、低血糖は認知機能を悪化させるため、個人の状態(認知機能、併存疾患の有無、ADL)を考慮して、血糖コントロール目標を個別に決定していくことが求められています。

血圧・血清脂質・体重のコントロール目標について

糖尿病に高血圧を合併した場合、降圧目標は130/80mmHg未満とされています。また、家庭血圧の測定も高血圧の治療には有用です。

家庭血圧は診察室に比べ、血圧が低くなることが多いため、収縮期血圧125mmHg未満、拡張期血圧75mmHg未満を目標とします。

高齢者における降圧目標は、前期高齢者では140/90mmHg、後期高齢者では150/90mmHgを目標にしていきます。

脂質に関しては、冠動脈疾患がない場合、LDLコレステロールは120mg/dL未満、HDLコレステロールは40mg/dL以上、中性脂肪は150mg/dL未満が目標です。

目標体重については、体格指数(BMI)がよく用いられます。肥満は、糖尿病の患者さまの予後に大きく影響を与える要因のひとつですが、その影響は年齢によって異なるため、目標とするBMIは年齢や合併症の状況によって変化します。

低血糖とその対処法について

低血糖は、糖尿病の薬物治療の際、経験する可能性があります。症状としては、動悸、発汗、手のふるえ、脱力、重度の場合、意識障害などの症状が出現します。血中ブドウ糖濃度が70mg/dL未満になると、低血糖と診断され、何らかの対処が必要となります。

低血糖の誘因としては薬剤の量の誤り、食事量が少ない、いつもより強くて長い運動の最中や運動後などに起こることがあります。

低血糖時の対応として、経口摂取が可能な場合は、ブドウ糖を10gまたはブドウ糖を含む飲料(150mL~200mL)を摂取します。経口摂取が不可能な場合、ブドウ糖液の注射が必要となるため、ただちに医療機関を受診する必要があります。

シックデイやがん検診について

シックデイとは、糖尿病の患者さまが治療中に発熱、下痢、嘔吐をきたし、食事ができない状態を指します。このような状態では、良好な血糖コントロール状況でも著しい高血糖になることがあるため、注意が必要です。シックデイ時には主治医に連絡をし、指示を受けるようにしましょう。

とくにインスリン注射中の場合は自己判断で中断することのないよう、発熱や消化器症状が強い場合は医療機関を受診しましょう。

また、がん検診も重要です。糖尿病は男性においては、胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がんの発生が多いといわれています。

がんは、採血のみでは早期診断が難しく、内視鏡検査やエコー、CT検査で診断できることが多いので、1年に1回はがん検診を受けましょう。

こんなときは、お気軽にご相談ください

  • 1

    肥満症による糖尿病の方で、
    血糖コントロールで悩んでいるとき

    生活習慣の改善や適切な糖尿病薬の選択により、減量がうまくいく場合があります。治療方針について丁寧に説明いたします。

    肥満症を合併した糖尿病では、インスリンの分泌は保持されているケースが多く、減量できれば血糖コントロールが改善する場合も多くあります。

    糖尿病薬の中にも体重が減りやすい薬剤があるため、食事や運動のみで減量が困難な場合は、それらの薬剤を優先的に選択して治療することも可能です。

  • 2

    健診で血糖値異常を指摘されたとき

    健診で血糖異常を指摘された場合、境界型(糖尿病予備群)なのか、すでに糖尿病なのかを明らかにするためにも、専門医がいる医療機関を受診することをお勧めします。

    糖尿病を早期発見することで、その合併症を予防することができます。「糖尿病予備軍」と指摘されたら、糖尿病と診断される前から少しずつ生活習慣を見直すことをお勧めします。2型糖尿病の場合、ある日突然、血糖値が高くなるわけではありません。多くの場合、ゆっくりと何年もかけて血糖値が高くなり、糖尿病に至ります。早期発見し、生活習慣を変えることで糖尿病への移行を阻止できる場合があります。

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