1. ブレスト・アウェアネスとは
乳房の状態に日頃から関心をもち、乳房を意識して生活することで、変化を感じたらすぐに医師に相談することを、「ブレスト アウェアネス Breast Awareness」といいます。
乳がんは女性で最も多く、9人にひとりが乳がんを発症し、今後も増えることが予想されます。乳がんの早期発見・早期治療のため、検診を待つのでなく、乳房を意識した生活習慣と速やかな受診という「ブレスト アウェアネス」が、現在はすすめられています。
乳がんは20代から増えはじめ、40~60代でピークになります。乳がんは早期発見に努めれば、専門医とともに適切な治療を行うことで、最も治るがんの一つでもあります。
アヤ世代(15〜39才、Adolescent and Young Adult: AYA)において最も多いのが乳がんですが、若い世代では乳がんが進んで見つかることが課題です。


2. 早期発見のための4つのアクション
自分の乳房を知る
乳房の普段の状態、月経に伴う変化はみなさん違います。日頃から自分の乳房を見て、さわって、感じて、いつもと変化がないかを意識しましょう。
「いつも通りかな?」と、気軽な気持ちで着替えや入浴、寝る前などに自分のやり方の乳房チェックで大丈夫です。月経終了後や毎月決めた週にセルフチェックができれば良いですが、むずかしいことも多いと思います。知人やメディアから乳がんの話を聞いたときには、「乳房のかたちや皮膚を見て、浅いところから深いところまでさわって、痛みや違和感を感じて」、といった流れで、普段よりしっかりとチェックできれば素晴らしいです。
気を付ける症状を知る
乳房のしこり、痛みや違和感、皮膚のつっぱりや発赤、乳頭からの分泌をはじめ、さまざまな症状が乳がんの知らせとなります。
「変化に気をつけること」が大切です。乳がんは大きくなるとともに硬くなることが多いですが、普段から乳房にしこりや硬いところがある方もいますし、一方で、柔らかい乳がんやしこりを作らない乳がんもあります。この痛みだから乳がんということもなく、普段痛みがない方であれば気付きやすいですが、日頃から痛みやハリ感が多いときは悩ましいと思います。痛くて困るわけじゃないけど、うまく言えないけど何か気になって、と見つかる方もいます。分泌では、乳頭付近の下着がシミになってないか、特に黒や赤い色のときは注意です。
変化に気づいたら、すぐに正しく医療機関を受診する
進行が速い乳がんもあるため、自治体や会社、健診センターなどでの乳がん検診を待たず、早めに乳腺専門医を受診しましょう。検診では診断が不十分になることがあります。
「いつもと違う症状」を見つけたら、自己判断せず、専門医へ相談しましょう。乳房の変化がすべて乳がんの症状ではありませんが、早期発見につながるため、「後悔するより迷わず受診」しましょう。2ヶ月、3ヶ月、半年と、迷っているあいだに月日が流れます。症状があるから進んだ乳がんというわけでもありません。適切な治療を早い段階でおこなうことで、治療も軽くなり、体と費用の負担も少なくなります。乳がんの診察はむずかしく、正しく医療機関を受診することが大切です。
リスクに応じて、定期的に乳がん検診を受ける
乳がんが進んでも症状がない場合があるため、定期的な乳がん検診が必要です。各個人のリスクにあわせて、検査の内容や頻度を医師と相談しましょう。
家族にがんになられた方の有無やこれまでの検査結果を参考に、リスクを判断しましょう。すでに全米がんセンターネットワークは、乳がん増加と若年化にあわせて、リスクが高い方は25才から6〜12ヶ月ごとの診察や適時の画像検査、30才から毎年のマンモグラフィや超音波、MRIを開始することを推奨しています。住民検診は国民全体の乳がん死亡率を下げることを目的としているため、自身の死亡リスクを下げるためには、開始年齢や間隔は各個人レベルで考えることが大切です。家族に乳がんになられた方がいらっしゃる場合、遅くともその年齢より10才早めに検診を開始しましょう。
3. 乳がんは自分で見つけられる
乳がん検診で異常なしと言われた場合でも、しこりや分泌などいつもと違う症状に気づいたときには、速やかに診察を受けましょう。マンモグラフィで検出できない乳がんや、数ヶ月で急速に大きくなる乳がんもあります。
大事なポイント
- 日頃から乳房に触れて観察する意識が大切です
- 気をつけなければいけない乳房の変化を知りましょう
- 信頼できる乳腺専門医を見つけておきましょう
- 乳がん検診で行う検査の特徴を理解しておきましょう