甲状腺とは

甲状腺は喉ぼとけの下にあるホルモン分泌器官で、小さな臓器のため、外から触ってもわかりません。海藻などに含まれるヨードという栄養素をもとに、甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンは血液の流れに乗って心臓や肝臓、腎臓、脳など体のいろいろな臓器に運ばれて、新陳代謝を盛んにするなど大切な働きをしています。そのバランスが崩れると様々な症状が出現します。

甲状腺は脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンに促され甲状腺ホルモンを作り分泌します。甲状腺ホルモンには、体の代謝を高め、交感神経を刺激し、体の成長や発達を促す働きがあります。

甲状腺の病気

甲状腺ホルモンには様々な作用があります。脂質・糖代謝などのエネルギー代謝に大きく影響します。心臓にも作用し、心臓の収縮力や心拍数を増加させる作用があります。骨の成長や代謝にもかかわっています。そのため、甲状腺ホルモンの分泌が増加、もしくは減少するなどバランスの異常が起きると主に体の代謝のバランスが崩れます。

橋本病の場合

橋本病では体内で甲状腺ホルモンの作用が低下するため、主に新陳代謝が低下した症状(寒がり、疲れやすいなど)が出現してきます。軽度の甲状腺機能低下症の場合は無症状のことも多いです。コレステロール代謝も低下するため、機能低下症では高コレステロール血症も伴いやすく、健康診断でコレステロール上昇を指摘され、診断される場合もあります。

甲状腺ホルモンが少なくなる橋本病の主な症状の一つが、首の腫れです。そのほか、甲状腺ホルモンの不足により、無気力、物忘れ、筋力低下、寒がり、疲れやすい、肌の乾燥などの症状が起こります。

バセドウ病の場合

バセドウ病では甲状腺ホルモンの分泌が増加するため、動悸、息切れ、頻脈、体重減少などが出現します。バセドウ病ではTSH受容体抗体が目の周囲の脂肪組織を刺激することで、眼球が突出したり、眼球を動かす筋肉に炎症を引き起こすことで眼球の運動が障害されて、物が二重に見えたりすることがあります。

甲状腺ホルモンが多く分泌されるバセドウ病の主な症状は、橋本病と同じで、首の腫れです。続いて、目の異常で、眼球が突出してきます。また、甲状腺ホルモンの過剰分泌により、息切れ、動悸、手指・足の震え、発汗、暑がり、体重減少などの症状が起こります。

診断に用いる検査

血液検査や甲状腺超音波検査が診断の中心となります。血液中の甲状腺ホルモンや自己抗体の有無を測定し、診断します。

1血液検査

血液中の甲状腺ホルモン(フリーT4、フリーT3)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)を測定します。橋本病の場合、甲状腺ホルモンが低下し、抗サイログロブリン抗体、抗ペルオキシダーゼ抗体が陽性になります。バセドウ病の場合は甲状腺ホルモンが上昇し、抗TSH受容体抗体が陽性になります。

2超音波検査

橋本病の場合、超音波検査においては正常所見もしくは炎症が進行した場合は内部エコーが低下し、不均一になります。バセドウ病では甲状腺内での血流増加などが認められます。

治療法の実際

橋本病で甲状腺の機能低下が軽度の場合はホルモンの補充は行わず、経過観察のみとなりますが、機能低下が進んでいる場合はホルモンの補充療法が行われます。少量の補充から開始し、甲状腺ホルモンが正常化するまで、投与量を漸増していきます。バセドウ病ではホルモンの合成を抑制する薬が第一選択で、血液中の甲状腺ホルモンの値をみながら、投与量を決定していきます。

薬物治療

橋本病の治療

橋本病のホルモン補充療法ではチラージンSが第一選択で使用されます。1日1回の内服で補充が可能です。外来受診も最初は月に1回程度ですが、ホルモンを正常に維持できる投与量が決定できれば、2~3か月に1度の受診となります。

バセドウ病の治療

バセドウ病の薬物療法はメルカゾールが第一選択薬として汎用されています。頻度は少ないですが、無顆粒球症という血液中の白血球が極度に減少する副作用がでる場合があり、投与開始3か月以内は2~3週間ごとに受診し、副作用の確認が必要となります。

こんなときは、お気軽にご相談ください

体調不良や更年期障害と症状が似ているため、病気を見極めることが大切です。

  • 1

    以下の症状が続くとき

    首の腫れ、無気力、物忘れ、筋力低下、寒がり、疲れやすい、肌の乾燥、目の異常(眼球の突出)、息切れ、動悸、手指・足の震え、発汗、暑がり、体重減少など

  • 2

    首が腫れているとき

    急に腫れてきた
    痛みやしこりを感じるなど

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