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投稿日2025.01.26
更新日2025.03.24
KNOWLEDGE

尿路結石予防におすすめの食事方法や生活習慣のポイントを解説

#尿路結石症 #泌尿器科

著者情報

阿南 剛 医師 四谷メディカルキューブ 泌尿器科 科長

2008 年 名古屋市立大学医学部卒業。聖路加国際病院、東北医科薬科大学病院を経て、2022年 4 月より現職。東北医科薬科大学医学部 臨床准教授を兼務。日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医・指導医、日本腎臓学会 腎臓専門医、日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医、日本レーザー医学会 レーザー専門医、日本尿路結石症学会 評議員、ほか。専門は前立腺肥大症や尿路結石症などの良性疾患の診断と治療で、これまでに 1,000 例以上のレーザー内視鏡手術を手掛ける。

尿路結石症は、男性の7人に1人、女性の15人に1人が一生のうちに経験するとされる国民病であり、世界三大激痛とも呼ばれる激しい痛みを伴うことで知られています。また、一度発症すると約半数が再発すると言われており、予防と再発防止策の両方を講じることが重要です。 尿路結石症は生活習慣病と深く関係しており、特にメタボリックシンドロームや食生活の欧米化が主な原因とされています。 本記事では、尿路結石症の予防や再発防止に役立つ食事方法や生活習慣について、わかりやすく解説します。

尿路結石を予防・再発防止するために摂取するべきもの

尿路結石の発症は、食事や生活習慣によって大きく影響を受けます。規則正しくバランスの取れた食生活と適切な水分摂取を意識することで、尿路結石症のリスクを軽減し、再発を防ぐことができます。

カルシウム

尿路結石の成分の多くは「シュウ酸カルシウム結石」であり、その予防には尿中のシュウ酸を減らすことが重要です。カルシウムの摂取を控えることが予防になるという誤解もありますが、実際には適切にカルシウムを摂取することが尿路結石症の予防につながります。十分なカルシウムを摂取することで、腸内でシュウ酸とカルシウムが結びつき、便として排泄されます。これにより、尿中へのシュウ酸排泄が減少し、尿中でシュウ酸とカルシウムが結合してシュウ酸カルシウム結石となることを防ぎます。

カルシウムを多く含む食品として、牛乳や魚などを積極的に取り入れることをおすすめします。

水分

尿路結石は、尿が濃くなることで形成されやすくなることが知られています。そのため、夏場など汗をかきやすい季節には、いつもより多めに水分を摂取することを心がけましょう。水分摂取量の目安は1日約2000ml程度とされていますが、無理に過剰摂取すると頻尿の原因になるため、現在の水分摂取量にプラス500ml程度を目安に調整することが望ましいです。牛乳、ミネラルウォーター、麦茶、ほうじ茶などは結石の予防に適しています。特に牛乳はカルシウムを豊富に含み、結石の発生を抑制する働きがあります。一方、シュウ酸を多く含む玉露、抹茶、ウーロン茶などは尿路結石を促進させるため、摂取を控えることを推奨します。

尿路結石を予防・再発防止するために摂取量に気を付けたいもの

尿路結石の予防や再発防止には、シュウ酸、塩分、動物性たんぱく質・動物性脂肪の摂取量に注意を払いましょう。これらの成分は結石の形成に影響を与えるため、適切に管理をすることでリスクを減らすことができます。

シュウ酸

シュウ酸カルシウム結石が多いことからもわかるように、尿中のシュウ酸量は結石形成のリスクに大きく関与します。そのため、シュウ酸を含む食品を控えめにすることがポイントです。シュウ酸を多く含む食品には、ほうれん草、タケノコ、コーヒー、紅茶、玉露などがあります。特に毎日飲む機会が多いコーヒーや紅茶、玉露は注意が必要です。一方、麦茶やほうじ茶はシュウ酸が少ないため、積極的に摂取しても問題ありません。すべてを完全に避ける必要はありませんが、過剰摂取を控えることが推奨されます。

塩分

塩分を控えることで尿中のカルシウム排泄量が減少し、尿路結石症の予防につながります。また、高血圧や腎機能障害のリスク軽減にも寄与し、メタボリックシンドロームの予防にも効果があります。

動物性たんぱく質・動物性脂肪

動物性たんぱく質や動物性脂肪を過剰に摂取すると、尿中のシュウ酸排泄量が増加し、尿路結石症のリスクが高まります。さらに、これらを多く摂ることはメタボリックシンドロームの原因にもなります。肥満の方に尿路結石症が多いという疫学調査もあるため、メタボリックシンドロームの予防は重要です。動物性たんぱく質や動物性脂肪を完全に避ける必要はありませんが、摂取量を適切にコントロールすることが望まれます。

食べ物以外で尿路結石の予防・再発防止として気を付けるべきこと

日常生活の中で気を付けるべきポイントが多くあります。食事だけでなく、運動や就寝前の生活習慣にも意識を向けることが大切です。これらの要因が尿路結石の形成に与える影響を理解し、適切な生活習慣を取り入れることが予防や再発防止につながります。

運動不足

運動不足は尿路結石症のリスクを高める要因の一つです。体を動かさないと血液や体液の循環が悪くなり、尿が濃縮されやすくなります。その結果、尿中のミネラルや老廃物が結晶化しやすくなり、結石が形成される可能性が高まります。また、運動不足は肥満につながることや代謝の低下を引き起こし、尿路結石症のリスクをさらに増加させます。適度な運動を日常生活に取り入れることが、将来にわたる尿路結石症の予防につながります。

就寝前の食事

尿路結石は就寝中に形成されやすいと考えられています。特に、食後2~4時間は尿中のシュウ酸濃度が高まるため、寝る直前に食事を摂ると、リスクが上がります。そのため、就寝前の食事は避け、食事は寝る4時間前までに済ませるようにしましょう。

ダイエット

疫学調査によると、肥満のある方に尿路結石症が多いことがわかっています。したがって、メタボリックシンドロームを避けるためには、食生活を見直しが重要です。具体的には、塩分や糖分、シュウ酸、プリン体、動物性タンパク質の過剰摂取を控え、夕食の食べ過ぎや、寝る前の食事を避けることなどが挙げられます。

まとめ

尿路結石症は、男性の約15%、女性の約7%が生涯に一度は発症するとされる国民病の一つです。再発率も高く、治療後5年で約50%の方が再発すると報告されています。尿路結石の約90%はシュウ酸カルシウムを含みますが、このカルシウム含有結石の形成を抑制・溶解する薬は現時点で存在していません。そのため、予防や再発防止には食事や生活習慣の見直しが不可欠です。

尿路結石症は悪性腫瘍(がんなど)ではありませんが、強い痛みを伴うことや腎盂腎炎のリスク、さらに腎機能低下を引き起こす可能性があります。痛みなどの自覚症状が現れた場合や健康診断で指摘され際には、泌尿器科専門医に相談することをおすすめします。

四谷メディカルキューブ 泌尿器科では、尿路結石症の診断から治療、再発予防まで専門的に対応しています。必要に応じて体への負担が少ない内視鏡手術を行い、再発リスクを低減するために「尿路結石症 再発予防プログラム」を実施しています。患者さまの状態に合わせて、糖尿病や腎機能低下が認められる方にはSGLT2阻害薬の使用を検討し、管理栄養士による個別の食事指導も行っています。
担当医の阿南剛は、糖尿病や慢性腎不全で使用されるSGLT2阻害薬が尿路結石形成を抑制する可能性について研究しており、その利尿作用や抗炎症作用による効果を報告しています。
尿路結石症でお悩みの方は、四谷メディカルキューブ 泌尿器科にご相談ください。

※尿路結石症 再発予防プログラムについて
四谷メディカルキューブでは、患者さまの状態に応じて以下の尿路結石再発予防法を実施しています。
・糖尿病のある方
現状の尿路結石を評価(CTや採血など)した上で、適応がある場合にはSGLT2阻害薬の追加を検討します。
・腎機能低下が認められる方
現状の尿路結石を評価(CTや採血など)した上で、適応がある場合にはSGLT2阻害薬の追加を検討します。
・上記以外の方
現状の尿路結石を評価(CTや採血など)した上で、管理栄養士による食事栄養指導を検討します。

尿路結石症の治療に関するお問い合わせ・受診予約

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阿南 剛 医師 四谷メディカルキューブ 泌尿器科 科長

2008 年 名古屋市立大学医学部卒業。聖路加国際病院、東北医科薬科大学病院を経て、2022年 4 月より現職。東北医科薬科大学医学部 臨床准教授を兼務。日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医・指導医、日本腎臓学会 腎臓専門医、日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医、日本レーザー医学会 レーザー専門医、日本尿路結石症学会 評議員、ほか。専門は前立腺肥大症や尿路結石症などの良性疾患の診断と治療で、これまでに 1,000 例以上のレーザー内視鏡手術を手掛ける。