尿路結石症とは
尿路結石症は尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石が形成される疾患です。腎臓か尿管で見つかる結石がほとんどです。結石の成分は複数に分類(シュウ酸カルシウム結石、リン酸カルシウム結石、尿酸結石、シスチン結石など)されます。男性は7人に1人、女性は15人に1人が生涯に経験するといわれています。
尿路結石症の原因食生活、内分泌疾患、尿路感染、尿の停滞、遺伝性などがあります。メタボリックシンドロームとの関連も指摘されています。

主な症状
結石がある場所によって症状が異なります。
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1
腎臓結石の場合
- 痛みはほとんど感じません。
- 健診で指摘されることが多いです。
- 腎臓結石が大きいと腎機能障害を起こすことがあります。
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2
尿管結石の場合
- 背中や脇腹に痛みが出ます。
- 血尿が出ることがあります。
- 痛みによる吐き気を伴うことがあります。
- 結石性腎盂腎炎を発症すると発熱症状があります。
診断に用いる検査
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- 1検尿
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尿検査で顕微鏡的血尿がないか確認します。同時に尿路感染症を併発していないか検査します。
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- 2超音波検査
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腎盂や尿管の拡張を確認します。滞っている尿流の程度を把握します。尿管にある結石の位置を確認します。
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- 3X線検査
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約90%の結石はX線検査で確認できます。大きさが2mm径以下の結石やX線透過性の尿酸結石は描出されにくいです。
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- 4CT検査
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CT検査では全ての結石が写るため、最終診断に有効です。
治療法の実際
尿路結石は自然に排出することが多いといわれ、全体の7割程度を占めます。残りの3割程度は治療介入が必要といわれています。緊急性がない10mm未満の結石は、薬物治療を1ヶ月程度行います。そこで排出しない場合は、手術を検討します。緊急性を伴う結石または10㎜以上の結石は、はじめから手術を推奨します。当院で施行する手術治療は、より確実に結石を砕き、取り除くことができる経尿道的尿路結石除去術(TUL)を採用しています。

薬物治療
ほとんどの結石は、薬剤で溶かすことができません。尿と一緒に排出するための薬剤と排出する際の痛みを緩和する薬剤を処方します。
手術治療
経尿道的尿路結石除去術(TUL)
- 手術方法
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尿道から細径の内視鏡を挿入し、先端を結石の近くまで導きます。
直接観察しながら、ホルミウムレーザーにて砕石します。
細かく砕かれた石は、バスケットカテーテルを用いて回収します。
尿管の保護と結石のあった部位の粘膜再生のため、尿管ステントを留置します。-
※尿管ステントは、外来にて抜去します。
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- 特⻑
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確実に結石を砕き、回収する
硬くて大きい結石を砕ける(20mm以下)
手術時間は30分~90分程度(結石の種類や数による)
入院期間は2日間
- この治療を必要とする方
- 20mm以下の結石や水腎症を伴う結石がある方
- 手術実績:22件(2022年度)
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年齢(中央値)59歳
結石径(中央値)11mm
1泊2日で退院 100%
術後発熱 0%
ストーンフリー率 96%

手術までの流れ

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- 初診
- 症状についての問診と診断に必要な検査を実施し、治療方針を提案します。
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- 内服薬による治療
- 症状に応じて薬物治療を開始します。改善が見られない場合や重症の場合は、手術治療を検討します。
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- 手術決め外来
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手術日を含めた今後の日程と術式を決定します。
手術に必要な検査(採血、採尿、心電図検査、レントゲン検査、50歳以上の方は心臓エコー)を行います。
全身麻酔で手術を行うため、麻酔科医師による説明があります。
手術方法や手術で起こりうる合併症について説明します。必ずご家族と一緒にご来院ください。
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- 入院・手術
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手術当日に入院します。
手術終了後に医師が説明するまで、ご家族は病室で待機していただきます。

入院スケジュール

手術後の回復力を高める入院生活
- 手術前処置はありません。
- 下剤・浣腸・術前点滴の使用を控え、ストレスフリーで歩いて手術室に入室します。

- 手術当日から食事を開始します。
- 手術後の痛みと嘔気対策のもと、夕食から経口摂取が可能となります。

- 手術翌日に退院できます。
- シャワー・トイレ付きの個室で、周囲に気兼ねなく、静かな環境の中で過ごすことができます。

入院費用の概算(3割負担)
- 経尿道的尿路結石除去術(TUL)
- 140,000円〜160,000円
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※高額療養費制度の対象となります。所得によって決められた自己負担限度額を超えた分が払い戻されます。入院会計時に「限度額認定証」をご提出いただくと、医療費請求額を自己負担限度額までの金額にとどめることができ、医療費の窓口負担を抑えることができます。
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※差額室をご利用の場合は別途となります。