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投稿日2024.11.28
更新日2025.03.24
KNOWLEDGE

人間ドックの内容は?検査項目や選び方などを解説

#人間ドック

著者情報

安田 聖栄 医師 四谷メディカルキューブ 理事長・健診センター長

1977年大阪大学医学部卒業。テネシー大学メディカルセンターへ留学。帰国後、山中湖クリニック腫瘍部長を経て、2005年に四谷メディカルキューブ副院長に就任。2008年には東海大学医学部消化器外科教授、附属病院副院長を務め、2016年より現職。現在、東海大学医学部客員教授。医学博士。専門は消化器外科およびPET検査による腫瘍診断で、20年以上にわたり人間ドックに従事している。

人間ドックとは

人間ドックの概要

「健診」「健康診断」「検診」「人間ドック」の用語には、明確な定義がありません。

「健診」や「健康診断」は、からだの異常や生活習慣病の危険因子がないか、健康状態をチェックすることです。これらの用語は、職場健診や法定健診、企業健診、特定健診などで広く使われています。

「検診」は、特定の病気を調べる検査を指します。がん検診、糖尿病検診、肝炎ウイルス検診などがその例です。

「人間ドック」は、症状がない病気や将来のリスク因子を早期に発見し、対処することを目的とした検査です。かつては短期入院を伴う精密検査として始まり、これは遠洋航海を終えた船がドック入りする様子にたとえられ、新聞記事で人間ドックと報じられたことから定着しました。現在では、日帰りの脳の検査を「脳ドック」と呼ぶように、入院を伴わない場合でも「ドック」という表現が使われています。

詳しく調べる健診は、人間ドックと同義として解釈してよいでしょう。これは、ちょうど「夫」と「旦那」、「妻」と「家内」、「スパゲッティ」と「パスタ」、「医院」と「クリニック」の違いに似ています。

健診・人間ドックの機会

日本の健診制度は、費用補助の有無によって大きく2つに分けられます。

【補助あり】
① 職場健診
② 加入している医療保険(医療保険者)からの健診案内
③ 住民健診

【補助なし】
④ 病院の健診・人間ドック

①の職場健診は、年に1度行われる法定健診です。検査内容は、身長、体重、腹囲、視力、聴力、胸部エックス線撮影、血圧、血液・尿検査、心電図検査など、シンプルなものですが、生活習慣病の発見において非常に重要です。自己負担はありませんので、ぜひ受診することをおすすめします。

②は加入している医療保険者から、③は市区町村から健診の案内が届きます。検査項目はほぼ同じで、費用補助があり、がん検診が一部含まれることもあります。自己負担が軽いため、積極的に利用すると良いでしょう。

④は自分で医療施設を探して受診するタイプで、検査項目は豊富です。

自動車保険に例えるなら、①は強制保険、②~④は任意保険に相当します。

健診の基本的な検査

・身体計測(身長、体重、腹囲)
・血圧
・視力、聴力
・血液検査(貧血、肝臓酵素、脂質、血糖)
・尿検査(血尿)
・胸部X線検査
・心電図検査

これらは職場健診で行われる基本的な検査です。最小限の検査項目ではありますが、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病やその危険因子を見つけるために重要です。異常が指摘された場合は、必ず指示に従うのがよいでしょう。毎年実施されるため、健康状態の経過を把握することができます。

尿検査では、慢性腎障害や尿路がんの発見に役立ちます。

胸部X線検査は肺がんや肺結核の発見が主な目的ですが、肺炎や肺気腫、胸部の大動脈瘤、心不全による心拡大などが見つかることもあります。

心電図検査では不整脈が分かりますが、不整脈の一種である「心房細動」は1~2%の頻度で発見されます。

健診・人間ドックを受けた方がよい人 

職場健診や住民健診よりも詳しい健診・人間ドックを受ける際の参考です(表1)。
年齢、性別、生活習慣、既往歴、家族歴に応じた検査項目が含まれたプランを選ぶことが大切です。

表1. 健康状態や生活習慣に起因するリスクと検査項目

健康状態や生活習慣推奨検査検査目的
喫煙歴がある肺のCT検査40歳以上の方は肺がんや慢性閉鎖性肺疾患(COPD)を確認
飲酒量が多い腹部超音波検査脂肪肝の有無を調べる
閉経している骨密度検査骨粗鬆症や骨折のリスクを評価
肥満気味でお腹がでている腹部CT検査生活習慣病のリスクが高まる内臓脂肪型肥満を確認
高血圧である脳のMRI検査脳出血の原因となる脳動脈瘤の有無を確認
がんが気になるがん検診年齢に応じたがんのリスク評価

どのような検査を受けるのがよいか

肺のCT検査

喫煙歴がある場合、40歳以上では肺のCT検査が推奨されます。次に述べる肺がんのみでなく、喫煙者の15〜20%に発生するとされるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の有無を確認することができます。

国の指針では、肺がん検診は40歳以上を対象に年1回、胸部X線検査が推奨されています。しかし、X線検査では心臓や骨と重なる部分で見逃しが生じやすく、感度は77〜80%とされています。これに対し、CT検査では胸部の横断画像を数ミリ間隔で表示するため、1cm以下の肺がんを早期の段階で発見できます。ただし、CT検査では肺がんと紛らわしい影が映ることがあり、異常が見つかっても経過観察を行うことがよくあります。

CT検査で異常がない場合、現時点で肺がんの心配はありません。数年後に再びCTによる肺がん検診を受ければ、肺がんが発見されても早期の段階がほとんどでしょう。肺がん検診ではCT検査が精密で、多くの健診・人間ドックで実施されています。

腹部超音波検査

腹部に超音波を送信・受信するプローブをあて、その反射波で臓器が映像化されます。超音波は魚群探知機でも使われています。実際の検査では、プローブにゼリーを塗りますが、体表面上で滑りやすくするだけでなく、プローブと体表間に空気を介在させないことが目的です。空気があると超音波画像が乱れるため、胃や腸管のように空気を含む臓器は超音波検査に不向きです。また、太っている場合は脂肪によって超音波が反射され、一部が観察不十分になることがあります。

検査では、肝臓、胆のう、すい臓、脾臓、腎臓、腹部大動脈などが映像化されます。とくに脂肪肝、胆のうポリープ、胆石は、他の検査以上に詳しくわかります。飲酒量が多い場合は、脂肪肝がないか調べるとよいでしょう。夕食時に1日1合のお酒は健康に良いとされていますが、2合を超える常習的な飲酒は、脂肪肝をはじめとする肝障害を引き起こす可能性があります。

検査は臨床検査技師が担当し、微妙な病変の検出にはその技師の経験や技術にも依存します。

骨密度検査

体内のカルシウム(Ca)は99%以上が骨にあります。骨はCaの貯蔵庫であり、Caは尿を通じて一部が排泄されるため、食事で補う必要があります。Caが不足すると、血中濃度を維持するため貯蔵庫からCaが動員され、それが続くと骨粗鬆症を引き起こします。骨の強度を保つには、Caが不足しないことです。さらに、ビタミンDやK、適度な運動も必要です。

Caの摂取源として最も優れているのは牛乳が王様で、カフェラテもよいでしょう。骨ごと食べられる小魚もあります。ビタミンDは日光浴で皮膚にビタミンDが生成され、週2回、日中に腕や脚を5~30分間ほど日光に当てるだけで十分です。食べ物では脂の乗った魚(鮭など)ときのこ類がビタミンDの豊富な供給源です。ビタミンKは納豆に豊富で、週に2~3パック程度の摂取が理想的です。納豆が苦手な場合は、葉が緑の野菜を摂るとよいでしょう。また、適切な運動で骨に負荷をかけることも重要です。無重力状態で過ごす宇宙飛行士は骨組織への荷重負荷がなくなるため、骨強度が急激に低下することはよく知られています。

体内のCa貯蔵を示す血液検査はありません。骨密度はDXA(デキサ)装置による検査が最も適しています。とくに閉経後はエストロゲンの低下により骨粗鬆症のリスクが高くなるため、一度は骨密度検査を受けておくと安心です。

内臓脂肪測定CT検査

健診・人間ドックのオプション検査として、CT検査による内臓脂肪の測定があります。腹囲が大きく(男性85cm以上、女性90cm以上)、内臓脂肪が多くないか心配な方におすすめです。おへその位置でCT画像を1枚撮影し、特殊なソフトで内臓の脂肪面積を計算します。内臓の脂肪面積が100㎠以上の場合、内臓脂肪型肥満とされます。費用はおおよそ5000円です。

私たちの体の脂肪、すなわち体脂肪は、皮下脂肪と内臓脂肪の2つに分けられますが、内臓脂肪の増加が問題とされています。内臓脂肪は中性脂肪を貯蔵するだけでなく、多くの生理物質(アディポネクチンなど)を分泌しているからです。脂肪細胞が肥大化すると生理物質の分泌が変化し、健康障害を引き起こします。その結果、糖尿病、高血圧、動脈硬化による心血管疾患のリスクが高まります。

内臓脂肪が多い場合は、過食(特に炭水化物)を避け、運動を心がけるとよいでしょう。

動脈硬化を調べる頸動脈超音波検査

「人は血管とともに老いる」という言葉がよく引用されます。これは、血管年齢が加齢や老化を示していることを意味します。本来は弾力性のある動脈が、年月をかけ硬く狭くなり、臓器への血流が低下します。心臓では狭心症や心筋梗塞、脳では脳梗塞の原因となります。

動脈硬化の初期にはプラークが生じます。これは血管内に生じた隆起物で、悪玉コレステロールなどが沈着したものです。このプラークによって血管内腔が狭くなったり、破綻したプラークの破片が血管を詰まらせたりすることがあります。

超音波検査では、左右の頸動脈にプラークが生じてないかを調べます。私はプラークの大きさと範囲が血管年齢、すなわち老化の指標になると思っています。プラークがあれば、動脈硬化を進展させないために生活習慣の改善が必要です。具体的には、血圧・血糖・脂質のコントロール、減塩、禁煙、適切な体重維持、食事、運動を心がけましょう。

脳の検査

高血圧、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化などがある方は、一度は脳の検査を受けるとよいでしょう。頭部MR検査では、脳組織(MRI)と脳血管(MRA)を同時に調べることができます。

頭部MRI検査では、症状のない脳梗塞や大脳白質病変(虚血による変化)がわかります。そのような変化がみられた場合は、リスク因子を下げるよう生活習慣の改善が必要です。また、脳動脈瘤が約3%に発見されたとの報告があります。放置すると脳出血の原因になるケースもあります。さらに、脳の血管奇形もわかります。脳腫瘍の発見率は約0.4%で、良性の髄膜腫が多くを占めます。これらの所見が発見された場合は、脳神経外科を受診することがすすめられます。

認知症のスクリーニング検査も実施されるようになりました。健常と認知症の境界状態である軽度認知障害(MCI)に気付く機会になります。MCIが認知症に進行するのは、1年間で10数%との報告もあります。改善されるケースもあるため、脳神経内科への受診が必要となることがあります。

がん検診

まず押さえておきたいのは、国が推奨する5つのがん検診です(表2)。有効性(死亡率減少効果)が科学的に証明されており、自治体や医療保険者からの健診案内には費用補助があります。有効性の根拠は、国立がん研究センターのウェブサイトで公開されています。がん検診の基本なので、有効に利用するのがよいでしょう。ただし、限界もあります。たとえば、子宮頸がんの細胞診検査の感度は75%程度です。がん細胞がうまく採取されない場合もあるためです。肺がんの胸部X線検査の感度は77~80%、乳がんのマンモグラフィ検査は70%、便潜血検査による大腸がん検診の感度は報告で差がありますが40~70%です。がん検診は万能ではないことを理解しておくことが大切です。

表2 国が推奨するがん検診

がんの種類推奨年齢検査頻度検査内容
胃がん50歳以上2年に1回内視鏡検査
子宮頸がん20歳以上2年に1回細胞診検査
肺がん40歳以上毎年腹部X線検査
乳がん40歳以上2年に1回マンモグラフィ
大腸がん40歳以上毎年便潜血検査

ここからは個人的見解になります。頻度の高いがんを見てみましょう (表3)。

表3 がん罹患数の順位

1位2位3位4位5位
男性前立腺大腸肝臓
女性乳腺大腸子宮

前立腺がんは国が推奨するがん検診に含まれていませんが、罹患頻度は1位です。60歳から年に1回、血液検査で前立腺の腫瘍マーカー(PSA)を調べることをおすすめします。

胃と大腸に関しては、内視鏡検査が最も信頼性が高いです。経験豊富な内視鏡医に診てもらうと安心です。胃は40歳以上で1~2年に1回、大腸は5年に1回程度が目安です。

肺がんは、特に喫煙歴がある場合、40歳から2年に1度、CT検査で調べると、がんが発見できても比較的初期の段階でしょう。

乳腺は40歳からの検査が推奨されます。マンモグラフィが基本ですが、乳腺が濃く写る方は乳腺超音波検査も受けると安心です。見逃しのリスクがあるため、毎年の検査が理想的です。

また、40歳からは、腹部の超音波検査で肝臓、胆嚢、すい臓、腎臓を毎年調べるとよいでしょう。

より詳しく検査を希望する場合、PET/CT検査があります。

PET/CT検査

PET/CT検査は、がん患者さんに対してがんの転移や再発を診断するために使用されています(保険診療)。これとは別に、多くのがんが比較的早期の段階で発見できるため、がん検診でも利用されています(自費診療)。放射線を出す薬剤(FDG)を微量注射し、約1時間後に撮影します。PET/CT検査で確認できる病変は、1㎤の大きさが目安です。この程度であれば、どの臓器のがんでも比較的早期の段階といえます。数ミリのがんや平べったいがんは発見できません。また、正常組織にFDGが多く集まる脳や膀胱では、内部に異常があっても発見できません。

PET/CT検査は万能ではなく、得意・不得意があります。

得意ながんには、肺がん、甲状腺がん、悪性リンパ腫、がんの転移・再発などがあります。

比較的得意ながんには、大腸がん、乳がん、卵巣がんがあります。

不得意ながんは、脳腫瘍、早期の食道・胃がん、膀胱がんなどです。

また、PET/CT検査で調べるのはがんだけではありません。がん以外の数多くの病気の有無もわかります。副鼻腔炎、唾石、橋本病(慢性甲状腺炎)、肺気腫、大動脈瘤、潰瘍性大腸炎、腎結石、関節リウマチ、脊椎の変化など、多くの病気が検出可能です。

健診・人間ドック施設の選び方

施設を選ぶ基準として、以下の5つを参考にするとよいでしょう。

・自治体(市町村)や、加入している医療保険(医療保険者)が指定する医療施設あるいは会社・企業が契約している病院
・健診部門があり健診・人間ドックの専従医師がいる医療施設
・繰り返し受診する人(リピーター)が多い
・医療従事者が受診している
・受診経験者がよかったと言う施設 (口コミ)

また、専門医が検査結果を丁寧に説明してくれるか、異常が見つかったときに適切な病院を紹介してくれるかどうかも、健診施設の質を判断する重要なポイントです。

まずは一度受診してみることです。2回目の受診を同じ施設にするかどうかは、その後に決めればよいです。

まとめ

これまで述べてきたように、定期的に健康状態をチェックすることは非常に重要です。特に、元気だった身近な人が病気にかかると、自分もからだをチェックしておこうという気持ちになります。仕事や日常生活に支障をきたさないためにも、病気を未然に防ぐことが大切です。

私たちの寿命は加齢とともに迎えるものですが、がん、心臓病、脳卒中が中高年の主な死因であることは避けられません。実際、55歳から84歳の死因の上位をこれらの病気が占めていることからも分かるように、決して他人事ではありません。
心臓病や脳卒中の主な原因となる動脈硬化は、健診・人間ドックの検査で早期に発見することができます。がんも2人に1人が罹患すると言われており、特に60歳以降はそのリスクが高まります。がんになるのは仕方がありませんが、定期検査で早期発見し、完治できれば、それは賞賛されることです。

四谷メディカルキューブ 健診センターでは、病気を発症してから治療を受けるのではなく、定期的な人間ドックを通じて病気のリスクを早期に発見し、早めに対応することを重視しています。そのため当院では、三大疾病(がん、心疾患、脳卒中)や生活習慣病の早期発見を目的とした「総合健診」や、一度の検査で多くのがんを比較的早期の段階で発見する「PETコース」など充実した健診メニューをご用意しています。
主な検査項目には、PET/CT検査、MRI検査、CT検査、内視鏡検査、超音波検査などがあり、これらの結果をもとに総合的な診断を行います。

忙しい日々の中で、一度立ち止まり、ご自身の健康状態をしっかりと確認することが、長く健やかな人生を送るための第一歩となります。早期にリスクを発見し、適切な対策を講じることで、将来に向けた準備も万全に整います。今こそ、日々の忙しさから一歩離れて、自分の健康を見つめ直す時間を持ちましょう。

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著者情報

安田 聖栄 医師 四谷メディカルキューブ 理事長・健診センター長

1977年大阪大学医学部卒業。テネシー大学メディカルセンターへ留学。帰国後、山中湖クリニック腫瘍部長を経て、2005年に四谷メディカルキューブ副院長に就任。2008年には東海大学医学部消化器外科教授、附属病院副院長を務め、2016年より現職。現在、東海大学医学部客員教授。医学博士。専門は消化器外科およびPET検査による腫瘍診断で、20年以上にわたり人間ドックに従事している。