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投稿日2024.11.28
更新日2025.03.24
KNOWLEDGE

乳がん検診は超音波とマンモグラフィどちらがいい?違いや特徴を紹介

#マンモグラフィ #乳がん

著者情報

林 光博 医師 四谷メディカルキューブ 乳腺外科 科長

高知大学医学部卒業。熊本大学医学部附属病院、熊本大学大学院生命科学研究部助教、国立がん研究センター先端医療開発センター、熊本市立熊本市民病院乳腺内分泌外科科長を経て、2020年より現職。歴代の日本乳癌学会会長のもとで研鑽を積み、国立がん研究センターでは国内外の研究者や大手製薬会社とともに最新の癌治療開発に尽力。国の医療研究開発機構AMEDの予算で癌研究を推進した数少ない乳腺専門医。医学博士。米国臨床腫瘍学会ASCO正会員、米国癌学会AACR正会員、ニューヨーク科学アカデミー会員。日本乳癌学会 乳腺専門医、日本外科学会 外科専門医、ほか。

乳がん検査の必要性

乳がんは、若年化・多様化しています。
2024年の統計によると、亡くなる原因で最も多いのが「癌(がん)」であり、30〜70歳の女性におけるがん死亡数の第1位が「乳がん」です。
年間約10万人が発病し、乳がんになる確率は生涯平均11%とされています。これは9人に1人の割合と最も高いため、乳がん検診は何よりも優先すべき検査だといえるでしょう。
また、最近ではAYA世代(Adolescent and Young Adult世代)と呼ばれる若い世代での乳がんの増加も課題であり、25〜30歳から乳がんが最も多くなり、そのあとも75歳まで続きます。
治療は進化していますが、乳がんで亡くなる方はいまだ増加しており、早期発見が何より大切です。
早期であれば、乳房の温存や抗がん剤不要など、体や費用の負担も減ります。
健康診断や他の画像検査で偶然に見つかることはほとんどなく、乳がん発見を狙った検査が必要です。
症状がない時は、自分のリスクに合わせた定期的な乳がん検診を考え、症状がある時は、待たずに乳腺外科を受診しましょう。

超音波検査(エコー検査)とは?

超音波検査(エコー検査)は、体に害のない安全な高周波音波を利用して、体の内部を調べます。日本は海外より普及しており、腹部や心臓、胎児、乳がん検診にもよく使われます。
手のひらサイズの検出装置を、ジェルを塗った乳房の表面に添わせるだけで、リアルタイムに動画として乳房内部の情報が得られ、通常痛みはありません。
特に準備は不要で、短時間で手軽に受けることができ、妊娠や月経を問わず、検査できます。
病変のかたちだけでなく、機種によっては硬さや血流を調べることができ、良性や前がん病変、リスクの評価も可能です。

マンモグラフィ検査とは?

マンモグラフィ検査は、X線を用いて、乳房を上下左右から挟み込んで撮影します。
デジタル化によって、高画質化や低線量化が進み、被爆を心配することなく、検査を受けることができます。乳房全体を2〜4枚の画像で評価するため、検査時間が短く、多くの方を対象にできることから、集団検診でも広く利用されています。
検査前に食事などの制限はありませんが、豊胸術後の方は撮影が可能かどうか、相談が必要です。
マンモグラフィでは、病変のかたちや歪み、石灰化などを調べ、機種によっては内部を三次元評価(3Dマンモグラフィ:トモシンセシス)することができます。

超音波検査とマンモグラフィ検査の違いについて、AIの導入!?

スクリーニングとして乳がん検査を受ける際には、検査の特徴を理解した上で、個人の健康管理として適切な検査を受けるのであれば、内容や頻度に制限はありません。

超音波検査は、高機能化が進み、数mmレベルの病変を検出できます。また、病変の硬さや血流の評価を組みあわせることで早期発見に有効です。被曝の心配がなく、何度でも受けることができるため、ホルモン治療を始めるときや、結婚・妊娠を考えるタイミングなど、ライフスタイルの節目にも適した検査です。

また、超音波検査は、マンモグラフィでは見えづらい良性や嚢胞内のしこり、乳腺症の変化が評価でき、乳がんリスクを考慮できます。最近では、石灰化も確認できるようになってきています。
ただし、機種や担当者のレベルによって、差が出やすい欠点があります。リアルタイム情報から任意の病変を画像や動画として検出する技術や、保存された病変画像から乳がんを診断する技量に違いが大きいため、海外では検診としてあまり普及していません。
近年は、これらの課題を解決するため、AI(人工知能)の活用が始まっています。マシンラーニングやディープラーニングによる解析技術を組み込むことで、病変検出アシスト機能を搭載した機種や、画像の診断を支援するソフトウェアなどの開発が進んでいます。


マンモグラフィは古くから海外でも広く普及している検査です。そのため、40代以降の女性には、2年に1回のマンモグラフィ検査が科学的に死亡率低下が証明された有効な検査として耳にすることがあるかもしれません。
しかし、ほかの乳がん検査が劣っているわけではありません。他の検査法や若年世代での検診は新しい課題であり、世界でほとんど調べられておらず、今後も試験としては調査しにくいことが理由になります。

マンモグラフィは乳房内の影の見え方で病変を調べるため、一般的には、閉経後や授乳歴が長い、脂肪組織が多いなど、一緒に映り込むものが少ないほど、小さな病変でも見つかりやすくなります。また、一部の乳がんが分泌する微小な石灰化を発見することにも優れています。デジタル化やアジア人の体型に合わせた機種の開発、担当者の技術向上により、痛みも軽減され、乳房全体を客観的に評価できることから、安定した検査といえます。

一方で、年齢や体質などにより、乳房内に映り込む影がもともと多い高濃度乳腺のときは、乳がんがあるのに隠されて検出できない偽陰性があります。また、乳がんはないのに、他の組織の影の重なりで乳がんのように見える偽陽性を生じることもあり、乳房内を立体的に検査するトモシンセシスで、これらを減少できる可能性が報告されています。
マンモグラフィにおけるAIの活用は欧米で進んでおり、画像の判別や将来の乳がんを予測するソフトウェアが次々と開発され、今後はアジア人用の研究も進むことが期待されます。

乳がん検査では超音波検査とマンモグラフィ検査どちらを受けるべき?

今後も乳がんの増加が見込まれており、他の病気もなく、家族歴もない、飲酒や喫煙、不摂生などリスク因子の心当たりもないのに乳がんになってしまったという方が増えています。
国の推奨は全体としてのバランスを考えたものであり、個人として、リスクや負担軽減を目指した検診を受けることを禁止するものではありません。乳がんの早期発見には、超音波検査が有効です。

家族に乳がんや卵巣がんの方はいない、その他含めて若い世代のがんの方はいない、乳房に普段から症状はないなど、平均的リスクの方であれば、25歳を過ぎたら、超音波検査をまず受けましょう。

以後は、しこりや痛み、分泌などの症状や良性の指摘がなければ、1〜3年ごとに超音波検査を受け、35歳を過ぎたら一度マンモグラフィを受けましょう。

35〜40歳以降は、毎年の検査をおすすめします。マンモグラフィでの痛みがなく、高濃度乳腺でなければ、超音波検査とマンモグラフィの両方を、片方のみ選ぶ必要があれば、交互に受けましょう。

マンモグラフィで痛みが強いときや高濃度乳腺の場合には、超音波検査を基本とし、可能であれば2年に1回マンモグラフィを追加するのがよいでしょう。
定期の検診であれば、痛みや影が出やすい月経前後は避けたほうがよいですが、検査できないわけではないので、深く気にする必要はありません。

乳がんが早期であるほど、ある検査では検出できても、他の検査では検出できないことがあります。診察、超音波検査、マンモグラフィ、ときにはMRIなど、複数の検査を組み合わせることが大切です。

まとめ

世界で最も多いがんは「乳がん」となり、若年化とともにその特徴も多様化しています。
超音波検査の発展は著しく、多くの早期乳がんが見つかるようになってきた一方で、診察やマンモグラフィでしか発見できない乳がんがあるのも事実です。
検査で見つかった病変が乳がんかどうか、同じ画像を診断しても、多様化に応じた答えを知っているかどうかで精密検査への判断が分かれます。
早期発見の入り口となる紹介状不要の乳がん検診施設に、乳腺専門医が常駐していることは少なく、さらに検診施設と治療施設が連携しなければ、フィードバックによる技術向上が進みません。

乳がんの早期発見には、皆さんの行動意識が大切です。
自分のリスクにあわせた乳がん検診を設定し、一方で、急速に進行する乳がんもあることから、「ブレストアウェアネス」を心がけましょう。

乳がんリスクが高い方は、家族が最も若く乳がんになった際の年齢から10歳若いとき、もしくは25歳以降、半年から年に1度の乳がん検査をおすすめします。診察や超音波検査を半年ごと、30歳以降は毎年のマンモグラフィやトモシンセシス、随時のMRI検査が有効です。また、遺伝子検査について考慮しておくことも大切です。

四谷メディカルキューブは、都市型先端医療センターとして、超音波検査、マンモグラフィ、MRI検査、そしてPET/CT検査を完備しています。経験豊富な技師に加え、AIアシスト機能を搭載した機種も導入することで、安心の乳がん検査・治療体制を整えています。

また、他院で診断がつかなかった病変や良性の治療にも、積極的に取り組んでいます。

初診時から乳腺専門医が担当し、乳がんの早期発見に努め、手術や薬物療法など、そのままワンストップで早期治療を完結することができます。

多忙な女性の負担軽減のため、痛みの少ない検査や治療、日帰り〜2泊の手術入院、きず跡の目立たない乳房温存手術(Scarless Breast Surgery)に、チームで取り組んでいます。

自分のリスクやどの検査が適しているか判断に迷うときは、まずは超音波検査を受け、信頼できる乳腺専門医に相談しましょう。
まずは一歩です。そしてこれからも、乳がん検診を継続ください。

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林 光博 医師 四谷メディカルキューブ 乳腺外科 科長

高知大学医学部卒業。熊本大学医学部附属病院、熊本大学大学院生命科学研究部助教、国立がん研究センター先端医療開発センター、熊本市立熊本市民病院乳腺内分泌外科科長を経て、2020年より現職。歴代の日本乳癌学会会長のもとで研鑽を積み、国立がん研究センターでは国内外の研究者や大手製薬会社とともに最新の癌治療開発に尽力。国の医療研究開発機構AMEDの予算で癌研究を推進した数少ない乳腺専門医。医学博士。米国臨床腫瘍学会ASCO正会員、米国癌学会AACR正会員、ニューヨーク科学アカデミー会員。日本乳癌学会 乳腺専門医、日本外科学会 外科専門医、ほか。