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投稿日2025.05.09
更新日2025.05.22
KNOWLEDGE

PET検査(PET/CT)とは?検査の内容やメリット、費用を紹介

#PET検査 #がん検査

著者情報

安田 聖栄 医師 四谷メディカルキューブ 理事長・健診センター長

1977年大阪大学医学部卒業。テネシー大学メディカルセンターへ留学。帰国後、山中湖クリニック腫瘍部長を経て、2005年に四谷メディカルキューブ副院長に就任。2008年には東海大学医学部消化器外科教授、附属病院副院長を務め、2016年より現職。現在、東海大学医学部客員教授。医学博士。専門は消化器外科およびPET検査による腫瘍診断で、20年以上にわたり人間ドックに従事している。

PET検査は、がんの診療において広く利用されています。私は1993年、まだ日本ではPETがほとんど知られていなかった時期から、この検査に携わるようになり、その後30年以上にわたってPETに関わってきました。その間、PETを取り巻く環境の変化を直接体験することができました。国内外の医学会にも数多く出席し、学術的知見が着実に積み上げられることを実感するとともに、技術の進歩によりPET専用装置に代わってPET/CT装置が一般的になり、検査で得られる情報量が増えたこと、さらには、がんの診療における活用が一層進み、PET検査によるがん検診が普及したことなどです。本記事では、これまでの経験をもとに、PET検査の有効的な利用について解説します。

PET検査とは

PET(Positron Emission Tomography:陽電子放出断層撮影)は、微弱な放射線を出すPET薬剤「FDG(エフディージー)」を静脈注射し、その集積具合を調べることで、がんの有無や広がりを確認する検査です。がん細胞は正常細胞よりも多くのブドウ糖を消費するため、ブドウ糖に似たFDGが高集積し画像に表示されます。

PET検査はもともと、がん患者さん向けに、がんの進行度や転移・再発の診断を目的とした保険診療として用いられてきました。しかし、多くのがんを比較的早期の段階で発見できることから、健常者向けに、がん検診(自費診療)にも活用されるようになりました。

現在、PET装置の多くはCT装置と一体化した「PET/CT装置」であるため、「PET/CT検査」とも呼ばれますが、本記事ではPET検査に含めてご説明いたします。

PETではがん細胞の代謝活動を映し出し、CTでは臓器の形や位置を画像化します。これらを組み合わせることで、異常のある部位をより正確に特定することができます。

PET検査の精度とメリット・デメリットについて

PET検査は、苦痛を伴わずに体の広い範囲を一度に調べます。検査前にFDGを静脈注射し、約1時間安静にした後、装置のベッドに横になり、約15分間の撮影を行います。病院での受付から会計までを含めて、全体でおおよそ3時間程度をみていただければ十分です。

PET検査で検出できるがんの目安は、1㎤以上の体積であり、数ミリ単位のがんは発見が難しい場合があります。1㎤というと大きく感じるかもしれませんが、多くのがんにおいては比較的早期の段階に相当します。一度の検査で、多くのがんを比較的早期の段階で発見できる点は、PET検査の大きなメリットです。

また、PET検査で調べられるのは、がんだけではありません。比較的よく発見される良性病変には、副鼻腔炎、慢性甲状腺炎(橋本病)、五十肩、冠動脈硬化症(動脈硬化による心筋栄養血管の石灰化)、高度脂肪肝、腎結石、変形性腰椎症(すべり症、椎間関節炎など)などがあります。PET検査を受けることで、これらの病変に気づくきっかけになることも少なくありません。たとえば、50歳代の方がPET検査によるがん検診を受けた場合、がんが見つかる割合は約1%程度ですが、良性病変が見つかる割合は約20%、すなわち5人に1人にのぼります。これは、これらの病変の有病率が高いことによるもので、PET検査を受けることで得られるメリットの一つといえます。

一方で、医療被ばくを心配される方もいるでしょう。PET検査など病院での放射線検査による医療被ばくについては(低線量被ばく)、がんが発生するリスクがもしあったとしてもわずかで、証明が難しいというのが現時点での科学的見解です。PET検査の被ばくは、過度に心配しないでよいでしょう。

PET検査はがん検診としての有効性が科学的に証明されているわけではないという点も理解しておくことが大切です。これは、CTによる肺がん検診や超音波による乳がん検診と同様です。

PET検査で見つかりやすいがんと、見つかりにくいがん

PET検査は、がん細胞の種類や性質によって検出が得意ながんと不得意ながんがあるため、その特性を正しく理解し、適切に活用することが重要です。他の検査と併用することで、がんの早期発見や診断の精度を高めることができます。

PETが得意とするがん

肺がん、甲状腺がん、悪性リンパ腫、上顎がん、耳下腺がん、胸腺腫瘍、縦隔腫瘍、後腹膜腫瘍、子宮体がん、悪性黒色腫、骨髄腫、消化管間質腫瘍(GIST)、がんの転移・再発

PETが比較的得意とするがん

大腸がん、乳がん、膵臓がん、子宮頚がん、卵巣がん、肉腫 (骨、筋肉)

PETが不得意ながん

脳腫瘍(正常脳が濃く写るため)、腎・膀胱・前立腺など尿路系の腫瘍(尿が濃く写るため)、食道・胃の早期がん(腫瘍体積が小さいため)、原発性肝がん(代謝が通常と異なるため)

PET検査で発見されるがん

PET検査の費用・相場

PET検査の唯一の短所は、費用が高額であることといえます。保険診療における費用は約9万円で、自己負担額(3割負担の場合)は約3万円となります。この診療報酬は欧米と比較して低く設定されており、例えば米国の調査(2012年)では、PET検査の費用は約1,890ドルと報告されています。これを現在の為替レート(1ドル=148円)で換算すると、約28万円に相当します。

がん検診としてPET検査を自費で受ける場合の費用は、医療施設によって異なりますが、概ね6万~14万円程度が相場とされています。これは、PET装置の導入や維持には費用がかかるためです。特に、数億円をかけてサイクロトロンを導入し、自施設内でPET薬剤を製造している一部の医療施設を除き、多くの施設ではPET薬剤をデリバリーで購入しています。薬剤の費用は一人につき約4万円と高価であるため、自費診療で行うPET検査の費用が高額になる要因となっています。

PET検査では脳腫瘍や尿路のがん、食道・胃がんの早期発見には限界があります。これらについては、上部内視鏡検査や尿検査(血尿)、男性は前立腺の腫瘍マーカー(PSA)が推奨されます。

まとめ

PET検査は、PET装置とCT装置を一体化させたPET/CT装置で行われるのが一般的で、苦痛なく、体の広い範囲を一度に調べることができます。保険診療としてPET検査を受けるには、一定の条件を満たす必要があります。また、がん検診として利用する場合は、得意・不得意があり、単独では限界があるため、他の検査と組み合わせることが推奨されます。

PET検査を受けられる施設は多くありますが、大切なのは優れた撮影技術に加え、その画像をどのように評価するかという「読影」の力です。価値ある情報を引き出すためには、医師の経験が欠かせません。画像診断においては、読影が重要な役割を果たします。

四谷メディカルキューブでは、2005年にPET/CT装置を都内で初めて導入し、これまで14万件以上の検査を行ってきました。PET/CTを用いた人間ドックを提供しており、三大疾病や生活習慣病の早期発見を目指した「総合健診」、がん検診としての「PETコース」など、充実した健診メニューをご用意しています。

体調不良が続き、がんが原因ではないかと心配な場合には、PET検査を受けてみるのも一つの選択肢です。PETは、がん以外にも炎症や良性の病変を検出できるためです。また、PETで分かる疾患と分からない疾患は比較的はっきりしているため、症状に応じて、次にどのような検査を受けるべきかを考えるうえで、PET検査が解決の糸口となることも少なくありません。PET検査は苦痛なく多くのことが分かるため、有効に利用して戴ければと思います。

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安田 聖栄 医師 四谷メディカルキューブ 理事長・健診センター長

1977年大阪大学医学部卒業。テネシー大学メディカルセンターへ留学。帰国後、山中湖クリニック腫瘍部長を経て、2005年に四谷メディカルキューブ副院長に就任。2008年には東海大学医学部消化器外科教授、附属病院副院長を務め、2016年より現職。現在、東海大学医学部客員教授。医学博士。専門は消化器外科およびPET検査による腫瘍診断で、20年以上にわたり人間ドックに従事している。