便潜血検査で陽性と判定されたらどうする?病気の可能性と次のステップを解説
健康診断や人間ドックで行われる便潜血検査で「陽性」と判定されると、「大腸がんではないか」と不安になる方が少なくありません。この記事では、便潜血検査の意味と陽性となる理由、考えられる病気、大腸内視鏡検査の重要性、検査を受ける医療機関の選び方、そして当院の大腸内視鏡検査の特徴について、一般の方にもわかりやすく解説します。
便潜血検査で陽性とはどのような状態か
便潜血検査は、肉眼では見えないほどわずかな血液が便の中に混じっていないかを調べる検査です。現在、日本の大腸がん検診で広く用いられているのは「免疫学的便潜血検査(FIT)」という方法で、便に含まれるヒトヘモグロビン(血液中のたんぱく質)を検出します¹⁾²⁾。
検査は通常、2 日分の便を採取して提出し、そのうち 1 日でも血液が検出されると陽性と判定されます¹⁾³⁾。陽性とは「便の中に何らかの出血がある可能性が高い」というサインであり、大腸がんがあると確定したという意味ではありません。ただし、大腸がんや大腸ポリープなどの病変から出血している可能性もあるため、精密検査として大腸内視鏡検査などを受けることが推奨されます¹⁾³⁾。
一方で、痔や炎症性腸疾患、感染性腸炎など、大腸がん以外の原因でも便に血液が混じることがあります。また、ごく少量の出血であっても検査では検出されることがあるため、「便潜血=すぐに命に関わる病気」というわけではありません。しかし、検診で要精密検査になったが、症状がないから放置するのは避けるべきであり、自己判断ではなく専門医による評価を受けることが重要です¹⁾。
便潜血検査が陽性だった場合に考えられる病気
便潜血検査で陽性となった場合、まず念頭に置かれるのは大腸の病気です。その中でも特に重要なのが「大腸がん」と「大腸ポリープ」です。
大腸がん
大腸がんは、日本で男女ともに罹患者数・死亡者数が多いがんの一つです²⁾。早期の段階ではほとんど症状がないことも多く、「便潜血検査で初めて異常が見つかる」というケースも少なくありません。免疫学的便潜血検査は、進行大腸がんの約 90%以上、早期大腸がんの約半数を拾い上げると報告されており³⁾、大腸がん検診として有効性が認められています²⁾³⁾。
ただし、「陽性=がんがある」というわけではなく、精密検査の結果、大腸がんが見つかるのは便潜血陽性者の一部に過ぎません。とはいえ、陽性で放置すると、見つけられたはずの早期がんや前がん病変(ポリープ)を見逃してしまう可能性があるため、やはり内視鏡検査による確認が重要です¹⁾³⁾。
大腸ポリープ(腺腫など)
大腸ポリープは、大腸の粘膜がイボのように盛り上がった状態を指します。ポリープにはさまざまな種類のものがありますが、腺腫(せんしゅ)と呼ばれるタイプは、大きくなるにつれてがん化のリスクが高まることがあるため、「大腸がんの芽」ともいわれることもあります(全ての腺腫ががん化するということではありません)³⁾。ポリープ自体では自覚症状が出ないことがほとんどですが、表面から少量の出血を起こすと、便潜血検査で陽性となることがあります。
便潜血検査により進行がんの 90%以上、早期がんの約 50%、腺腫などのポリープの約30%が見つかるとされています³⁾。つまり、便潜血陽性は「大腸ポリープの段階で見つけて、内視鏡で切除するチャンス」ともいえます。
その他の大腸疾患
便潜血陽性の背景には、以下のような病気が隠れていることもあります。
・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病など):粘膜の炎症やびらん、潰瘍から出血し、慢性的な下痢や腹痛を伴うことがあります。
・虚血性腸炎:大腸の血流が一時的に悪くなり、腹痛と血便が急に出現する病気です。
・感染性腸炎:細菌やウイルス感染により、下痢・腹痛・発熱とともに血便を認めることがあります。
これらの疾患では必ずしも内視鏡検査が必要となるわけではありませんが、診断に苦慮する場合は必要となる場合もあります。
痔核や肛門裂傷
「痔があるから便潜血が陽性になっただけ」と自己判断してしまう方もいますが、痔と大腸がんが同時に存在することもあり得ます¹⁾。痔がある場合でも、大腸の精密検査を受けなければ本当に痔だけが原因かどうかは確認できません。「痔があるからといって精密検査を受けないのではなく、必ず精密検査を受けること」が推奨されています¹⁾。
便潜血検査のメリット・デメリット
便潜血検査にはメリットとデメリットがあり、陽性・陰性の結果だけで安心・放置を決めてよい検査ではないことを理解しておくことが大切です。
メリット
①簡便で負担が少ない
便潜血検査は、自宅で採便し提出するだけの簡単な検査なので、身体的な負担はほとんどありません。下剤を飲んだり、検査当日に食事制限をしたりする必要も基本的にはありません²⁾。
②大腸がん死亡率を下げる効果が証明されている
大規模な研究やガイドラインにより、便潜血検査による大腸がん検診は、大腸がんによる死亡率を有意に減少させることが示されています²⁾⁴⁾。これに基づき、日本でも 40~74 歳を対象に、年 1 回の免疫学的便潜血検査が推奨されています²⁾。
③早期発見・早期治療につながる
早期の大腸がんや前がん病変であるポリープの段階で異常を拾い上げることで、内視鏡治療だけで完治できる症例が増えます³⁾。これは、開腹手術や抗がん剤治療を避けられる可能性があるという点で大きなメリットです。
デメリット・限界
①偽陽性(病気がないのに陽性と出る)
痔や一時的な炎症、月経血の混入、採便時の手技などにより、実際には大腸がんやポリープがなくても陽性となることがあります。このため、「陽性=必ず重い病気」というわけではありませんが、精密検査なしでは区別がつきません¹⁾²⁾。
②偽陰性(病気があるのに陰性と出る)
大腸がんやポリープがあっても、採便したときにたまたま出血していなかった場合は「陰性」と判定されることがあります。そのため、「陰性だから絶対に大腸がんではない」とは言い切れません²⁾³⁾。繰り返し検査を受けることによって、リスクを下げていくことが重要です。
③病変の有無や場所を直接確認できない
便潜血検査はあくまで「血液が混じっているかどうか」を見る検査であり、「どこに」「どのくらいの大きさの病変があるか」はわかりません。陽性と判定された場合は、やはり大腸内視鏡検査などの精密検査が必要です¹⁾。
便潜血検査で陽性と判定されたら大腸内視鏡検査を
便潜血検査で陽性となった場合、精密検査として最も標準的に行われるのが「大腸内視鏡検査」です¹⁾³⁾。大腸内視鏡は、肛門からスコープを挿入し、大腸全体の粘膜を直接観察できる検査で、病変の有無・大きさ・場所・形態を詳しく評価できます。必要に応じて、その場でポリープを切除したり、組織を採取して顕微鏡検査(病理検査)に回したりすることも可能です。
海外の大規模研究でも、便潜血陽性後に一定期間内に大腸内視鏡検査を受けた群と、受診が大きく遅れた群を比較すると、検査の遅れが長いほど進行がんや進行期での発見が増えることが報告されています⁵⁾。一般的には、陽性と判定されたら、数か月以内を目安に精密検査を受けることが望ましいとされています。
医療機関を選ぶ際のポイント
・大腸内視鏡検査の実績があるか(年間検査数、ポリープ切除などの内視鏡治療の経験)
・内視鏡専門医が在籍しているか
・鎮静剤を用いた苦痛の少ない検査に対応しているか
・検査前後の説明やフォロー体制が整っているか
これらの点は、医療機関のホームページや受診時の説明からある程度確認することができます。不安な点があれば、事前の受診や電話で相談してみるのもよいでしょう。
当院の大腸内視鏡検査の特徴
当院では、便潜血検査で陽性と判定された方が、安心して次のステップに進めるよう、以下のような体制で大腸内視鏡検査を行っています。
①内視鏡専門医による検査
大腸内視鏡検査はすべて、日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医が担当します。豊富な経験と専門的な知識に基づき、微細な病変も見逃さないよう丁寧に観察を行います。
②苦痛を抑えたな安楽な検査(鎮静剤の使用)
検査への不安や痛みを和らげるため、鎮静剤や鎮痛剤を併用した安楽な検査を行っています。眠っているようなリラックスした状態で検査を受けていただくことで、「大腸内視鏡はつらい」というイメージをできるだけ軽減できるよう努めています。
③拡大内視鏡・NBI を活用した観察と安全管理
当院では、拡大内視鏡や NBI(狭帯域光観察)といった機能を備えた高画質内視鏡システムとスコープを使用しています。NBI は特定の波長の光を使うことにより、粘膜表面の模様や血管の走行が強調される観察方法で、ポリープや早期がんなどの病変の発見に役立つとされています。こうした機能を活用することで、わずかな色調の変化や、目立たない平坦な病変も見落とさないように検査を行っています。また、検査中は血圧・脈拍・酸素飽和度などをモニターで確認し、安全面に十分配慮した体制で検査を実施しています。
④検査前後の丁寧な説明とフォロー
検査前には、検査の目的・流れ・注意点をわかりやすく説明し、ご不安やご質問にもできる限りお答えします。検査後は、撮影した画像をお見せしながら結果を説明し、必要に応じて追加検査や治療の方針をご相談いたします。
これらにより、「初めての方」や「以前ほかの施設でつらい経験をした方」にも、できる限り安心して検査を受けていただける環境づくりを心がけています。
まとめ
便潜血検査で「陽性」と判定されたとき、多くの方がまず「大腸がんではないか」と不安を感じます。しかし、陽性という結果は「大腸に何らかの出血源がある可能性が高い」というサインであり、その原因は大腸がんやポリープだけでなく、痔や炎症性腸疾患などさまざまです。
大切なのは、「症状がないから」「痔があるから」と自己判断で放置するのではなく、ガイドラインで推奨されているとおり、大腸内視鏡検査などの精密検査を受けて原因を確認することです¹⁾²⁾³⁾。便潜血検査は簡単な検査ですが、大腸がんを早期に見つけ、命を守るきっかけとなり得る重要な検査です。
当院では、内視鏡専門医による質の高い大腸内視鏡検査と、鎮静剤を用いた苦痛の少ない検査体制を整え、便潜血陽性の方をはじめ、大腸検査をご希望の方を受け入れています。
健康診断や人間ドックで便潜血陽性と判定された方、家族に大腸がんの方がいるなど心配な点がある方は、どうぞ一人で悩まずにご相談ください。早めに一歩を踏み出すことが、将来の健康リスクを減らす大きな助けになります。
参考文献
1)国立がん研究センター がん情報サービス.大腸がん検診について.(参照 2025-11-18)
2)有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン 2024 年度版.厚生労働省委託研究班.
3)日本消化器病学会・日本消化器内視鏡学会.患者さんとご家族のための大腸ポリープガイド 2023.2023 年.
4)Quintero E, et al. Colonoscopy versus Fecal Immunochemical Testing inColorectal-Cancer Screening. N Engl J Med. 2012;366:697-706.
5)Corley DA, et al. Association Between Time to Colonoscopy After a PositiveFecal Test Result and Risk of Colorectal Cancer and Cancer Stage at Diagnosis.JAMA. 2017;317(16):1631-1641.
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四谷メディカルキューブは、2005年に東京都千代田区に開院した有床クリニックです。
外来診療をはじめ、身体への負担が少ない低侵襲手術や人間ドックなど、多様なニーズに幅広く対応しています。開院当初よりセコム医療システム株式会社と提携し、信頼される医療サービスの提供を使命に掲げ、これからも安心と高品質な診療に努めてまいります。
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