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インタビュー
投稿日2025.02.21
更新日2025.04.04
KNOWLEDGE
#乳がん #乳がん検診

患者さんの思いを胸に、きず跡を残さない手術に挑む「スカーレスブレストサージェリー」

乳腺外科 科長 林 光博

四谷メディカルキューブ乳腺外科では、乳腺疾患の診断から手術、化学療法まで幅広い診療を行い、都心に13施設しかない日本乳癌学会認定施設の一つです。特に早期乳がんの治療に注力し、痛みの少ない検査、きずが目立たない乳房温存手術、各種遺伝子検査などを通じて、乳がんの根治性を追求しながら患者さんに寄り添う医療を提供しています。
今回、乳がん治療への取り組みや診療にかける思いについて、林光博医師にお話を伺いました。

「自分の家族だったらどうするか」を念頭に

当院では、乳がんの早期発見と治療を一貫して行えるワンストップ診療を提供し、きずが目立たない手術(スカーレスブレストサージェリー)に重点を置いています。患者さんの生活の質を守ることを大切にし、PET/CTやMRIを活用した精密な診断体制と、初診当日に検査・診断が完了する環境を整え、患者さんの負担軽減を図っています。

常に、目の前の患者さんが自分の家族だったらどうするかを考えながら検査や治療にあたり、特に患者さんの声に耳を傾けることを重視しています。過去には、転院してきた方から「もっと、先生に自分の意見を言えばよかった」と後悔の声を聞いたこともあり、完治を目指すことはもちろんですが、患者さんと価値観を共有しながら最適な治療を行うことを大切にしています。

そして、手術は医師にとって日常的なものですが、患者さんやそのご家族にとっては命がかかった大きな挑戦です。常に後悔しない手術を提供することを自身に言い聞かせています。

また、生死に関わる現場では、技術や知性だけでなく、明確な道徳感も求められます。患者さんとそのご家族が再び立ち上がり、人生をより良いものにできるよう、白衣を着ていなくても信頼できるプロフェッショナルを目指していきたいと考えています。

乳がんに向き合う患者さんの強さに触れ、乳がん治療の最前線へ

医学の道を志したのは、人生の意味を深く考えたいという思いからでした。初期研修で乳がん患者さんを担当した際、命の尊さや人生を全うしようとする強さに心を動かされ、乳腺外科医を志しました。
それからは、乳がんの早期発見と手術技術の向上を目指し、診療と研究に明け暮れ、国立がん研究センター先端医療開発センターでは、乳がんのほか、肺がんや子宮がん、脳腫瘍など、多くのがんの新薬開発にも従事してきました。
日本医療研究開発機構AMEDの研究事業代表者や、ニューヨーク科学アカデミーとAMEDが主催した医療分野国際科学技術共同研究開発推進事業(Interstellar Initiative)の日本代表にも選出いただき、ノーベル賞クラスの研究者指導のもと、得がたい経験を積ませていただきました。

医療現場では、患者さんから多くのことを学ぶ毎日です。乳がんと向き合う方々の力強さを支え、一緒に未来を創る存在でありたいと願っています。

すべての女性に知ってほしい「ブレスト・アウェアネス」

「ブレスト・アウェアネス」という言葉を知っていますか?

これは、乳房の状態に日頃から関心を持ち、乳房を意識して生活し、異変を感じたら医師に相談することを意味します。近年、乳がんは世界的に最も発症しやすい女性のがんとなりました。

乳がんにかかる世代や乳がんの種類は多様化しており、診断が難しくなっています。各国では40~50歳代からマンモグラフィなどの検診が推奨されていますが、若い世代への普及は依然として難しいのが現状です。

そこで重要なのが、患者さん一人ひとりが「ブレスト・アウェアネス」を大切にすることです。以前は「硬い・動かないしこり」が乳がんの基準とされていましたが、現在では、柔らかいしこりやしこりがないもの、乳房全体が硬い、張りがあるなど、患者さんの訴えは多種多様です。

「なんとなく気になる」といった訴えから早期発見につながる事例もあり、現場の医師としても、患者さん自身の感覚が非常に重要だと感じています。乳がんの多様化を理解し、自治体の検診を積極的に活用することはもちろんのこと、自分の人生を考えたときに、異変を見逃さず、早期に受診していただくことが大切です。

乳房温存率96%、乳がんに適切な処置を

当院では、無症状の段階で乳がんが見つかった場合、腫瘍浸潤サイズの平均は7mmで、早期発見に努めています。また、乳がんの確定診断を受けた患者さんの約8割がそのまま治療を希望し、乳房温存手術を選択されています。

当院の乳がん検診は、マンモグラフィとエコー(超音波)検査を組み合わせて実施しています。エコー検査は痛みがなく簡便で、マンモグラフィが苦手とする乳腺が密集した部分の乳がんを発見するのに非常に役立ちます。検査者の技術が必要なため広くは普及していませんが、両検査の特徴を生かし、組み合わせることで早期発見を目指しています。

さらに、検査から治療までをワンストップで対応できる体制が整っています。乳腺外科には、子育てや働き盛りの世代である20~40歳代の方々が多く、頻回の来院負担を軽減するため、初診当日に検査・診断をすべて完了できるようにしています。患者さんの時間的、金銭的な負担を抑え、紹介状も必須ではありません。

万が一、手術が必要な場合は、最短1泊2日の入院で手術を受けることができます。手術前の処置(下剤・浣腸・術前点滴など)は基本的に不要で、歩いて手術室に入ることができます。痛みを最小限に抑え、術後の回復を早めることを重視しており、退院後すぐにお仕事に戻られる方もいらっしゃいます。

また、スカーレスブレストサージェリー(きずが目立たない乳がんの手術)を重要視しており、手術後のきずが患者さんのその後の人生に大きな影響を与えることから、「きずが小さく、目立たない乳房温存手術」に取り組んでいます。

乳房温存率は96%を誇り、一般的に乳がんが3cmを超える場合、乳房の全摘が推奨されます。しかし、3cmを超える場合でも完治を保証した上で乳房温存手術を行っており、「きずが全然見えない」「手術したことを忘れています」といった喜びの声を多くいただいています。これらの声に、スタッフ一同、大きなやりがいを感じています。

ガイドラインより一歩先の医療を提供したい

乳がん治療において大事なことは早期発見です。“きずが小さく、目立たない乳房温存手術”を実現するために、当院ではむやみに経過観察にせず、怪しい所見があれば徹底的に調べます。また、診療したすべての乳がんにおいて、診察所見・画像所見・病理組織を確認し、フィードバックを欠かしません。

病気の治療には、診療ガイドラインと治療の標準化が定められています。しかし、ガイドラインには限界があることも事実です。そのため、診療ガイドラインの背景を理解し、その先の医療「Beyond the Evidence」を提供できるよう、日々取り組んでいます。

私は乳がん患者さんから、人生を生きる意味を学ばせていただきました。乳がん患者さんの思いが、今の私を作っており、そして生きがいとなっています。医師をさせていただいていることに感謝し、診療にあたったすべての方がより良い人生を過ごせるよう、早期発見とスカーレスブレストサージェリーに挑み続けていきます。

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プロフィール

林 光博 医師 四谷メディカルキューブ 乳腺外科 科長

高知大学医学部卒業。熊本大学医学部附属病院、熊本大学大学院生命科学研究部助教、国立がん研究センター先端医療開発センター、熊本市立熊本市民病院乳腺内分泌外科科長を経て、2020年より現職。歴代の日本乳癌学会会長のもとで研鑽を積み、国立がん研究センターでは国内外の研究者や大手製薬会社とともに最新の癌治療開発に尽力。国の医療研究開発機構AMEDの予算で癌研究を推進した数少ない乳腺専門医。医学博士。米国臨床腫瘍学会ASCO正会員、米国癌学会AACR正会員、ニューヨーク科学アカデミー会員。日本乳癌学会 乳腺専門医、日本外科学会 外科専門医、ほか。