卵巣嚢腫について
【監修/勢多真理子先生】
卵巣嚢腫の治療
明確な基準はありませんが大きさ5cmくらいまでの卵巣嚢腫は外来での定期的な経過観察となります。5cmを超える卵巣嚢腫は前述した捻転、破裂の可能性なども出てくるため手術を考慮します。またある程度の大きさになると、悪性の可能性も考えなければいけません。卵巣嚢腫手術は悪性ではないことを確認するための方法でもあります。
以下に当院での卵巣嚢腫手術について記します。
将来的に妊娠を希望する場合、30代までの女性は一般的に卵巣の腫瘍のみを核出し卵巣の正常部分を温存するように手術をします(卵巣嚢腫核出術)。
捻転により卵巣が壊死している場合や悪性の可能性が否定できない場合、
また40歳以上の女性の場合には腫れている方の卵巣を全摘することがあります(卵巣摘出術)。
良性の腫瘍の場合、最近は開腹手術ではなく、侵襲の低い腹腔鏡下手術が選択されます。
卵巣嚢腫の腹腔鏡下手術の方法
体外法
腹腔鏡にて骨盤内を観察し、卵巣嚢腫の大きさ、周囲との癒着を確認します。
癒着がなければ、まず卵巣嚢腫の内溶液を吸引し、風船をしぼませるように卵巣嚢腫を
しぼませます。創部(約2〜3p)より卵巣を引きずり出し、卵巣嚢腫(腫れの部分)を
取りのぞき正常な卵巣を吸収糸(体内で溶ける糸)にて縫って修復します。
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1 サンドバルーンという器具を用いて卵巣嚢腫の内容液を体外へ漏らさないように吸引します |
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2 内容液がなくなり縮んだ卵巣を体外へ牽引します |
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3 卵巣嚢腫を正常卵巣部分より剥離した後、正常卵巣を吸収糸で縫って修復します |
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4 縫って修復した卵巣を体内へ戻します |
体内法
癒着がある場合(子宮内膜症が原因の卵巣嚢腫の多くは周囲と癒着していることが多いです)
まず癒着を可能な限り周囲よりはがします。その後、内溶液を吸引し、鉗子を使い体内で卵巣嚢腫を正常卵巣部分よりはがし卵巣嚢腫を摘出します。
そのまま体内で卵巣を吸収糸で縫って修復します。
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1 卵巣嚢腫が周囲と癒着しています |
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2 鉗子を使用し、卵巣嚢腫と周囲の癒着を可能な限り剥離します |
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3 内容液を吸引したのち卵巣嚢腫を正常な卵巣部分より剥離します |
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4 体内で吸収糸にて正常卵巣を縫って修復します。 |
卵巣嚢腫手術の費用と入院期間について
卵巣嚢腫にかかる手術・入院費用は3割負担で35万円から40万円程度です。入院期間は原則として4泊5日ですが、子宮内膜症が原因の癒着のある卵巣嚢腫手術の場合は1日多く、5泊6日の入院となります。
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