負担の少ない手術に対するこだわり(きずの小さな手術センターとは)

負担の少ない手術に対するこだわり
(きずの小さな手術センターとは)

わたしたちは、2005年の設立時に手術室を「きずの小さな手術センター」と名付け、きずが小さく身体に負担の少ない手術を目指し実践してきました。手術室は4つで、内視鏡手術(腹腔鏡、胸腔鏡、子宮鏡)を中心に、専門性の高い、高度な技術を持った医師が、それぞれの分野に特化した手術を年間約3000件行っています。麻酔科は日本麻酔科学会の認定施設であり、専門医、指導医資格を持つ常勤医師が中心となり全身麻酔を担っています。各診療科での学会発表も積極的で、知識や技術のアップデートに努め、四谷メディカルキューブから多くの新しい情報を発信しています。

入院・手術の流れ

<外来・手術について>

外来通院にて、術前検査、手術説明、麻酔説明を行います。
多くの手術では、手術の当日に来院し、手術室フロアにある待機室、あるいは、入院する病室を経由して、手術室にご案内します。
術前の飲水制限は最小限とし、下剤や浣腸もなく、手術に臨んでいただいています。
点滴は手術室で開始します。好きな音楽CDがあればご持参下さい。手術室内の壁は花の模様となっており、心和める環境で手術ができるよう努めています。

<入院について>

手術後は、5階宿泊室にストレッチャーで移動し、病室へ入院(すべて個室)、日帰りの場合は、数時間ベッドでお休みいただきます。
入院の場合、ほとんどの手術で術当日であっても夕食を召し上がっていただいています。管理栄養士が丁寧に対応し、アレルギーや嗜好にも配慮した美味しい食事が、院内レストラン「ミクニマンスール」から提供されます。

身体に負担の少ない「低侵襲手術」

手術室では、効率的そして安全に手術が行えるよう努めています。身体に数か所の小さな穴を開け、そこにカメラや鉗子(組織や器材を持つための手術器具)を入れて行う、負担が少ない内視鏡手術(腹腔鏡、胸腔鏡、子宮鏡)に力を入れています。きずが小さければ、術後の痛みが少なく、皮膚の傷がわずかで美容的観点からも大きなメリットがあります。同時に腸管の動きも早く回復し、早期の食事開始が可能となります。現在、内視鏡手術は日本でも広く行われる手術手技となりましたが、時代はより細いカメラや鉗子になりつつあります。モニターを見ながら限定された空間での細かな操作は、手技的に多くの難しい点があります。四谷メディカルキューブでは、開腹となる確率が非常に小さい、出血量が少ない、手術時間が短い、などが特長です。このような身体に負担の少ない手術を「低侵襲手術」と呼んでおり、ほとんどの手術の入院期間が3日以内という短期入院が実現しています。

ERAS(イーラス:Enhanced Recovery After Surgery)の実施

わたしたちは、術後早期に回復するために推奨されている、術後回復能力強化プログラム(ERAS)を積極的に実施しています。これは、患者さまの身体的、精神的負担をできるだけ減らし、不必要な処置を行なわず、早期回復を促進させるプログラムです。約20年前に北欧から始まったものですが、日本の医療においてはまだ広く浸透していません。当院では、術前点滴は行わず、手術の約2時間前まで飲水していただく、術前の下剤や浣腸は行わない、術後早期に飲水や食事を開始する、術後早期に歩行を開始する、などのERASプロトコルを取り入れることで、より早く全身状態が回復し、短期入院を可能としています。尿道カテーテルや胃管なども不必要な手術では入れていません。手術部位へのドレーンも、できるだけ入れない、あるいは入れた場合も問題なければ早期に抜去します。術後の吐き気対策もERASの取り組みのひとつとして積極的に行っています。吐き気は痛み以上に辛くなることがありますが、術後に吐き気に効果の高い薬をいくつか組み合わせ、点滴します。必要に応じて、術中からの制吐薬の予防投与も行っています。
術前と同様の身体のバランスを維持すること、手術によるダメージを最小限にすることが、早期回復における鍵になると考えています。