手術方法紹介

腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術 ~Laparoscopic Roux en Y Gastric Bypass: LRYGB~

腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術

ルーワイ胃バイパス手術では胃を20~30ccの小袋に分けます。その小袋に小腸をつなぎます。食べ物が流れる小腸の途中に、胆汁と膵液が流れるようにもう一方の小腸の端を吻合します。術前の肥満度に応じてその吻合する小腸の長さを変えて、栄養吸収の程度を調節します。胃バイパス手術で小袋をつくることによって、少量の摂取で満腹感をえて食事摂取量を制限するとともに、吸収を悪くすることによってエネルギーの取り込みをさらに少なくします。最近のアメリカ肥満外科学会などではこの胃バイパス手術がゴールドスタンダードとなってきており、現在アメリカで最も多く行われている減量手術です。

●ルーワイ胃バイパス術のメリット

  • 1.1年後に平均で超過体重の77%を減量できます。長期間のフォロー(10~14年)の報告でも超過体重の60%減を維持できています。
  • 2.肥満に関連する合併症(腰痛、関節痛、糖尿病、高血圧、睡眠時無呼吸症候群など)の90%以上が改善されました。
  • 3.現在行われている減量手術の中で最も多く行われており、最も古くから行われている手術です。米国で行われている減量手術の約8割はこの胃バイパス手術です。

●ルーワイ胃バイパス術のリスク

  • 1.消化吸収を制限する手術なので、鉄やカルシュウム、ビタミンの欠乏が生じるために、これらの内服が必要です。これを怠ると、貧血や骨への障害が生じます。
  • 2.「ダンピング症候群」(胃の切除後に、胃の貯留機能が低下して飲食物が小腸へ急降下してしまう障害)を起こす可能性があります。
  • 3.胃の小袋が大きく引き伸ばされてしまい、充分な効果が得られないことがあります。
  • 4.食事が通る部分の狭窄(狭くなる)が生じることや、吐き気や嘔吐が見られることがあります。
  • 5.残っている下方の胃の検査ができなくなるため、もしそこに何か病変が生じても通常の胃内視鏡、バリウム検査では発見できません。新しい小腸内視鏡を用いた方法で残った胃の検査報告はあります。
  • 6.胆道や膵臓の内視鏡的検査ができなくなります。
  • 7.手術に関連する全般の危険性(感染、出血、血栓、縫合不全、肺炎、心臓発作、死亡など)があります。

腹腔鏡下胃緊縛法(胃バンディング手術)

食事摂取量を制限する手術の代表的なものです。胃の上のほうにバンドをまいて締め付け、胃を二つの部分、上方の小さな部分と下方の大きな部分に分けます。上方の小さな胃の部分が満たされると満腹感をおぼえます。食物の消化は通常どおりの経路で行われます。現在、最も多く使われているのは、バンドの締め付け方を調整できる器具を腹壁内に埋めこんで、状況に応じて膨らましたりしぼめたりできるものです。

●胃バンディング手術のメリット

  • 1.食事量が制限されるので、体内に入ってくるエネルギーを減少できます。
  • 2.ルーワイ胃バイパス術とは異なり、食べ物は通常どおりに消化吸収されます。
  • 3.多施設の3000症例以上の研究結果では、術後2年以上の経過を追い、超過体重の28から87%の減量を認めました。平均的には約45%程度といわれています。
  • 4.バンドの締め具合を術後に調整できます。
  • 5.手術によりバンドを取り除けば手術前と同じような状態に戻せます。
  • 6.術後にも通常の方法で胃や胆道の内視鏡検査ができます。

●胃バンディング手術のリスク

  • 1.バンドの圧迫によって胃に穴があいたり胃が裂けたりすることがあり、そのときは緊急手術が必要となります。
  • 2.十分に食べたという満足感が得られない患者さんもいます。
  • 3.食事が通る部分の狭窄(狭くなる)が生じることや、吐き気や嘔吐が見られることがあります。
  • 4.胃の上の部分の小袋が拡張してしまい、十分な効果が得られないことがあります。
  • 5.バンドがすべって動いてしまうことがあります。その場合には再手術が必要になることがあります。
  • 6.胃バイパス手術ほどの減量効果、合併症改善効果はありません。
  • 7.手術に関連する全般の危険性(感染、出血、血栓、縫合不全、肺炎、心臓発作、死亡など)があります。
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腹腔鏡下袖状胃切除術 ~Lap Sleeve Gastrectomy~

胃の大半を切り取り、胃をバナナ1本くらいの大きさにして食事摂取量を制限する手術です。比較的新しい手術のため、長期成績がでていませんが、1-2年の短期での報告では良好な効果が得られています。胃バンディングと同様に食事摂取量の制限だけの手術ですが、異物を用いないため、異物による合併症は軽減できます。しかし、胃を切り取ってしまうため、手術の後に元に戻すということは出来ません。

腹腔鏡下袖状胃切除術のメリット

  • 1.食事量が制限される手術ですので、体内に入ってくるエネルギーを減少できます。
  • 2.ルーワイ胃バイパス術とは異なり、食べ物は通常どおりに消化吸収されます。
  • 3.術後にも胃や胆道の内視鏡検査ができます。
  • 4.短期成績では胃バンディング術よりも良好な報告があります。
  • 5.もし体重減少がうまく行かなくなっても、二期的に腹腔鏡下胃バイパス術を行うことは比較的容易です。

腹腔鏡下袖状胃切除術のリスク

  • 1.胃を切り取ってしまうため、元に戻すことは出来ません。
  • 2.比較的新しい手術のため、長期成績は出ていません。そのためアメリカ肥満外科学会が2004年に定めた合議書にはまだ載っていない手術です。
  • 3.食事が通る部分の狭窄(狭くなる)が生じることや、吐き気や嘔吐が見られることがあります。
  • 4.小さくした胃が拡張してしまい、十分な効果が得られないことがあります。
  • 5.胃バイパス手術ほどの減量効果、合併症改善効果は期待できないと考えられます。
  • 6.手術に関連する全般の危険性(感染、出血、血栓、縫合不全、肺炎、心臓発作、死亡など)があります。
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腹腔鏡下十二指腸転換を伴う胆膵バイパス術(十二指腸スイッチ手術)
~Laparoscopic BiliopancreaticDiversion with Duodenal Switch:LapBPD/DS~

この手術はおもに栄養吸収を制限することにより減量をおこないます。その原理は以下のようなものと考えられています。

  • ●胆汁と膵液が十二指腸に排出されるが、この手術では胆汁と膵液は空腸で食物と混ざるようになる。しかし空腸では胆汁、膵液により分解された食物の吸収が低下する。また、胆汁などが混ざらない部位での食物の通過は分解酵素がないため少量しか吸収されない。とくに胆汁酸とリパーゼは脂肪の吸収に必要であるので、脂肪カロリーの吸収抑制が他の栄養素に比して多く起こる。しかし、残念なことに吸収されない脂肪はガスや下痢、くさい便を引き起こす。
  • ●食物がとおる小腸が短くなるため、食物が直接触れる小腸粘膜の面積が少なくなる。そのため栄養の吸収が少なくなる。

胃バイパス手術は胃をバイパスするだけで切除をしませんがBPDでは胃の70%を切除をします。この手術では、残してある胃の大きさは胃バイパス術での胃嚢(パウチ)の大きさよりも大きくなります。このためバイパスやバンディングよりも多く食べられます。食物が胃に入ったあと、新たに作られた吻合部を通過して、小腸(栄養脚)に流れます。この構造は基本的には胃バイパス術と同じですが、胃から大腸までの小腸の長さがかなり短くなっていて、栄養吸収を障害するようになっています。膵液と胆汁は胆膵脚を流れ、大腸から100cmの部位の栄養脚に流れるようにします。胆汁、膵液と食物が混ざり流れていく小腸の部分は共通脚と呼ばれます。この栄養脚、共通脚の長さは外科医によってさまざまな違いがあります。
BPD術後の超過多重減少率は約80%でありバイパスよりも良好といわれています。そしてこの減量は少なくとも18年間は続くであろうことは証明されています。しかしながら、他の手術のデータ同様、このデータもフォローアップの長さや質、手術が行われた国、外科医、患者さんの術前の体重によって変わってきます。他の減量手術同様、BPDも生涯にわたるフォローアップが極めて必要となります。

DUODENAL SWITCH

DS(Duodenal Switch:十二指腸変更、交換=適当な日本語訳が見つかりません。ここではDSと表記します。)は、BPDの変法であり、術後の潰瘍発生の低下、食事摂取制限の追加、ダンピング症候群の発生の減少、蛋白カロリーの吸収制限による栄養障害などをへらすために考え出されました。(しかし、ダンピングに関しては一概に“悪い”とは言えない合併症であり、ダンピングによって患者さんが高糖質や高脂肪食をとることを抑えているとも考えられています。)BPD/DSは1986年にHess医師により報告されました。
BPD/DSは栄養吸収を抑えることと同時に、食事摂取を抑えることで機能する手術です。残った胃はバナナのような形となり、十二指腸の上部で切断されて、そこで小腸と吻合されます。BPDと比べて、DSはより小さな胃となります。BPDとBPD/DSの大きな違いは、残った胃の形です。栄養吸収抑制をつかさどる部分は大きな違いはなく、BPDでは胃の下半分を横に切り取り、BPD/DSでは胃の大弯側を縦に切り取ります。(袖状胃切除術と同じ形になる)
十二指腸は小腸よりも胃酸への耐性が高いため、潰瘍になりづらいといわれています。BPDは胃と小腸をつなぐが、DSは十二指腸と小腸を吻合します。DSは胃から2-4cmの部分の十二指腸で切断して、小腸と胃側の十二指腸の断端を吻合します。理論的にはDSはBPDと比べ鉄とカルシウムの吸収が良くなると考えられている。十二指腸を切断するデメリットは、同部分には多くの大事な器官が集中しており、これらの器官を損傷すると命にかかわるような合併症が生じる可能性があるということです。これらの手術は、長期間の最も多くの体重減少が報告されています。しかし胃バイパス術や食事摂取を制限するだけの手術に比べて、栄養障害が生じる率が高くなります。BPDとBPD/DSは減量外科手術の中でも最も複雑な手術であると考えられています。ある患者さんたちや外科医たちはDSがダンピング症候群がないため、胃バイパス術やBPDよりも優れた手術であると考えています。しかしBPDやDSは、脂肪に富んだ食事の後は、とてもくさいおならや下痢になるという、これらの手術に特徴的な副作用があります。

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腹腔鏡下スリーブ・バイパス術
~Laparoscopic sleeve gastrectomywith duodenojejunalbypass: LSGB~

腹腔鏡下スリーブ・バイパス手術(LSGB)は決して、「全く新しい手術」というわけではありません。手術の基本コンセプトは胃バイパス術(以下バイパス)と変わりません。すなわち、食事摂取量制限と栄養吸収制限のコンビネーションの手術です。
通常の胃バイパス術との違いは、胃の切り方と小腸をつなげる位置です。通常の胃バイパス術は胃を20cc程度の小さなパウチ(胃嚢)として切り離して、残った胃(空置された胃)ができます。しかしLSGBは胃を袖状胃切除術(スリーブ・ガストレクトミー以下スリーブ)と同じようにして、空置された胃(検査出来ない胃)が出来ないように切り取ってしまいます。
通常のバイパスではパウチ(胃)と小腸を吻合します。LSGBでは十二指腸と小腸を、バイパス手術をするのと同じように吻合します。ただ、バイパスよりも胃のサイズが大きいため、栄養吸収制限を若干強くします。出来上がった形はBPD/DSといわれる手術と似たものとなりますが、BPD/DSは超重症肥満(BMI55以上)の方に行うため、栄養吸収抑制がとても強くなります。そのため数%で栄養障害が出て、再手術が必要となるといわれています。しかしLSGBでは、BPD/DSほどの強い栄養吸収抑制を行いませんので、コンセプトとしては「(1)空置された胃を作らない(2)パウチ(胃)が大きい(スリーブと同じ大きさ)(3)少し栄養吸収制限が強い」胃バイパス術と考えています。技術的にはBPD/DSと同じです。

メリット

  • 1.胃の幽門と呼ばれるリングを残して十二指腸と吻合するため、ダンピングが少ない、潰瘍が少ない、胃の観察が通常の胃内視鏡で出来るため胃癌のリスクのある方にも安心して施行できる。
  • 2.糖尿病やその他の疾患に対する効果および減量効果はスリーブよりも高く、バイパスと同様と考えられます。

デメリット

  • 1.同じ手術の蓄積がほとんどないため、どのくらいの体重減少率、リバウンドの率などが不明であるということが上げられます。理論的に考えれば、胃はスリーブと同じ大きさでかつ栄養吸収制限もありますので、スリーブ以上の効果でバイパスと同等かやや落ちる程度ではないかと考えています。当院のこれまでの成績では、胃バイパス術と比較して統計的な有意差はありませんでした。
  • 2.スリーブとバイパスをあわせたものですから、手術が複雑で、機材や時間が多くかかるために費用は高くなります。スリーブと同じで、切った胃を取り出してしますので元に戻すことは出来ません。

現段階では主に胃癌のリスクファクターがあるため通常の胃バイパスを行って空置胃を作ることにより問題が生じるかもしれない方々や検査が出来づらい胃を残すことに不安を感じる方などを対象としてこの手術を行っています。

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超々重症肥満に対する二期的手術

BMIが60をこえる超々重症肥満の方は、一度で手術をすると死亡率が高くなるといわれています。そのような方には、安全のため一回目の手術で胃を小さくして減量をはかり、減量がとまったところで胃バイパス術をするという二期的手術を考えています。
具体的には、まず腹腔鏡下袖状胃切除術(Lap Sleeve gastrectomy)を行い、BMIが50程度まで減量した時点、または減量が止まった時点で、二度目の手術として腹腔鏡下胃バイパス術、または腹腔鏡下BiliopancreaticdiversionwithDuodenal switch(十二指腸スイッチ手術)を行う方法です。

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胃内バルーン挿入法(BIB)

胃内バルーン挿入法(BIB)

胃の中にシリコンでできた風船(バルーン)を入れ、胃袋の容量を減らすことにより、食べられる量を少なくして体重減少をはかる方法です。
内科的治療と外科的治療の中間に位置する肥満治療のひとつです。手術ではなく胃内視鏡で行う処置で最長6カ月までの挿入が可能です。胃の中に異物を入れて胃内容量を減少させるので、気持ち悪い感じが数日間続きます。多くの場合は、抜去後しばらくするとリバウンドをしてしまうため、長期的な効果を目指す当院では手術前の減量がうまくいかない方に限定して処置を行う場合があります。

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減量手術・外来診療のご相談・ご予約について
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また、「減量手術.com」にてよくあるご質問にお答えしていますのでご参照ください。
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