病的肥満・手術適応

病的肥満とは?

肥満が「病的肥満」とみなされるかどうかは、肥満を原因とする重大な疾病があり、それが命にかかわるかどうかによります。病的肥満の合併症は、糖尿病、高血圧、心臓病、脂質代謝異常、肺閉塞、関節炎、睡眠時無呼吸症候群、うつ病などさまざまです。体重が理想体重の2倍を越える病的肥満の患者さんの死亡率は一般の人の2倍、糖尿病や心臓発作による死亡の危険率は5~7倍といわれています。したがって、病的肥満は重大な疾患であり、患者さん自身は重病であることを認識する必要があります。

手術適応について

欧米での手術適応は「肥満度の指標であるBMI(=体重kg÷身長mの2乗)が 35以上で、肥満に起因する合併疾患を持つもの」「BMI 40以上」とされていますが、アジア人は内臓脂肪蓄積型肥満が多く、欧米人より低い肥満度で糖尿病などの合併疾患を併発しやすいことが分かっています。そのため、合併疾患の改善を大きな手術の目的として、アジア人に対する手術を検討してまいりました。 当院では、倫理委員会の承認を受けた上で、日本人を含む、アジア人に対する手術適応を次のように規定しています。


  • 肥満度の指標であるBMI(=体重kg÷身長mの2乗)が30以上で、肥満に起因する合併疾患を有する方
  • ※上記の適応を満たす方で、内科的治療が効果がなかった方

ただし、手術を受けるに際して最も重要なのは、これが楽をしてやせるための手術ではなく、患者さまの命を守るための手術であることを十分に理解することです。そして、肥満治療に対して十分な意欲があり、手術後の長期にわたる食事療法、運動療法、フォローアップのための外来通院の重要性を理解していることが必要です。そして、ご家族の理解と協力が不可欠です。また、手術をすれば簡単にやせられるというわけでもありません。一番大事なことは、患者さま自身が自分で自分のライフスタイルを変えようとする努力です。手術は短期間の「きっかけ」に過ぎません。その後の栄養管理や精神面でのケアが手術と同じくらい重要です。
なお、肥満が内分泌疾患または服用している薬物によって起こっている場合や、全身麻酔・手術が無理なほど状態が悪い場合など、手術を行えないケースもありますが、まずはご相談ください。

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減量手術の目的と対象者

手術は決して美容を目的としたものではなく、肥満に伴う合併疾患を改善して生命予後をよくし、生活の質を向上させるために行うものです。

この減量手術は、脂肪吸引ではありません。脂肪吸引は、減量効果は数kgですし、術後に合併症を改善することはできません。

肥満の外科的治療は、病的肥満による合併症を改善することを目的としています。お断りしておきたいのは、減量手術は大手術であり、決して簡単に安易に行うものではないことです。手術の対象となるのは、今のままだと命にかかわる危険性のある病的肥満の方です。

減量手術は、減量後の体重を最も長く維持でき、他の治療法に失敗した方にも有効です。この手術を受けた方々からは、生活の質の改善、社会的活動の向上、精神的な安定、雇用機会の増加、経済的な改善どの成果があったことが報告されています。 現在、私が行っている治療は、胃バイパス手術など4種類の腹腔鏡下手術と1種類の処置です。

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