胆石(胆嚢結石)  (たんせき・たんのうけっせき)
自覚症状がない場合も…。
【監修/梅澤昭子医師】
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胆石(胆嚢結石)

治療方法

胆石の治療法

胆嚢結石胆石)の治療法は、大きく内科的治療と外科的治療に分かれます。

  • ・内科的治療には、胆石溶解療法、体外衝撃波などがあります。
  • ・外科的治療は手術=主に胆嚢摘出術胆のう摘出術)です。

内科的治療である胆石溶解療法は、効果がある人もいますが限られています。また、胆石が溶解するまでに1年ぐらいかかり、完全に溶けてしまうのは18%ぐらいのようです。再発は1年で17%、3年で40%もあり、溶解療法に使用した薬を飲み続けるべきであるという考え方もあります。体外衝撃波(ESWL)も胆石の完全消失は約55%、再発率は1年で20%、5年で40%程度といわれています。
胆石の外科的な治療法である手術(胆嚢摘出術)は、胆嚢結石(胆石)ができる場所をなくしてしまうという意味で根本的な治療であるといえます。

胆石手術について

おなかが痛んだり、発熱があったりなど症状のある胆嚢結石症(胆石症)は手術をおすすめします。
無症状の胆石症の場合は基本的に手術適応ではありません(ただし胆管結石は無症状でも胆汁の流れが滞って肝臓に影響が出る心配があるため、治療が必要です。肝内結石はその状態によりますので、ここでは省きます)。

胆石によって痛みの症状が出てきた場合は、早めの治療・手術をおすすめします。
痛みを我慢することは大変なことですし、胆嚢が腫れあがったり、周りの組織に癒着が起こったりすることもあります。また、胆石による痛みの発作は1回生じると何度も繰り返すことが多い症状です。
胆石により急性胆嚢炎(38度以上の高熱・白血球数1万/μl以上の炎症・胆のうの腫れ)を発症してしまった場合には、4日以内に手術を行う方が良いといわれています。

治療は、胆石ができる場所つまり胆嚢をまるごと切除してしまう必要があります。「えっ?悪いのは胆石で、胆石を取り出す手術だけではだめなの?!」と質問されますが・・・とらなくてはいけません。なぜならば、一度胆石ができた胆嚢は結石ができやすい環境になっているため、胆石手術(胆嚢摘出術)により胆嚢結石ができる場所をなくしてしまう必要があるのです。

胆石の腹腔鏡手術

胆石手術の手術創胆嚢結石胆石)の手術である胆嚢摘出術には、開腹による手術と腹腔鏡を用いた手術があります。開腹による胆嚢摘出術は1882年のLangenbuch以来120年余りの歴史がある手術です。みぞおちから右わき腹にかけて15~20cmほどお腹を切って手術を行います(切開の方法はそのほかにみぞおちとへそを結ぶ線上、あるいはその少し右側などいろいろな方法があります)。

開腹手術に対し、わが国では1990年から腹腔鏡下手術が行われるようになりました。
お腹を二酸化炭素のガスで膨らませ、腹腔鏡と呼ばれる細長いまっすぐなカメラをお腹に差込み、お腹の中の様子をテレビモニターに映します。お腹にさらに数ヶ所の小さな傷をつけ、モニタを見ながら手術器械(手術器具)を差し入れて、お腹の中で従来の開腹手術と同じ内容の胆石手術を行います。

当院では、おへその近くに直径12mmのポート(通路の役割をする中空の筒)を挿入して腹腔鏡でお腹の中を観察後、径5mmのポートを1本、径2mmのポートを2本挿入して手術を行ないます。切り取った胆嚢はおへそ近くの12mmのポートから取り出します。
2mm、2mm、5mm、12mmのポートを挿入するだけですので傷は小さく、皮膚の縫合も行なわないので抜糸の必要もありません。当院では普通よりも細い2mmのポート(主流の器具は5~10mm)を使用しており、2mmのポートの傷は数ヵ月後にはほとんどわからなくなります。
また、手術の後に身体を動かしたり、歩いたり、食事を摂ったりできるようになるまでの時間も開腹手術に比べて早い、というメリットがあります。当院での標準的入院日数は3日、体調が良ければ退院後すぐに仕事復帰可能です(当院の胆石手術の一般的なスケジュール、手術実績・入院日数実績等については「治療の流れ/手術実績」のページをご覧ください)。
つまり腹腔鏡下胆嚢摘出手術は美容的に優れるだけでなく、身体にやさしい胆石手術であるといえます。

傷跡のない胆石手術!?―単孔式内視鏡手術―

胆石手術(単孔式内視鏡手術)

腹腔鏡下手術の傷は従来の開腹手術の傷に比べると、はるかに整容性に優れていますが、最近、さらに傷を少なくして行う工夫がされるようになりました。単孔式内視鏡手術という名称の手術です。

この手術は、主としておへその傷を利用して行います。おへそを切開して皮下を広くはがして、ここから数本のトロッカーといわれる筒をお腹の中に差し込みます。用いるトロッカーは数本ですが、傷は1か所ですから、終了するとおへその傷だけになるのです。もちろん、1か所からのアプローチでは、器械の方向が同じ向きになって操作が妨げられることがあるので、安全のため傷を追加してトロッカーを挿入することもありますが、従来の手術よりも、傷の数が減ります。
その上おへその傷は引き込むように治っていくので、傷は年月とともに目立たなくなり、あたかも「手術の傷痕がない」ように治るのです。
右の写真は単孔式で行われた腹腔鏡下胆嚢摘出術後2週間の患者さまの傷です。おへそ以外は傷がありません。この方は手術後2日目に退院し、翌々日には仕事に復帰されました。

総胆管結石の腹腔鏡手術

当院では胆嚢結石だけでなく総胆管結石に対しても、腹腔鏡下手術が可能です。総胆管結石の治療として口からの内視鏡で胆石を取り出す方法もありますが、総胆管結石の多くは胆嚢から落ちてきたものなので、総胆管結石の患者さんの殆どが胆嚢にも胆石を持っています。総胆管結石を口からの内視鏡で取った後、腹腔鏡下で胆嚢摘出をする方法を採用している医療機関もありますが、当院の腹腔鏡手術では胆嚢摘出と胆管結石摘出を同時に行うため、一回の手術で一連の治療が完結し、再発の心配がありません。

胆石手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術)の適応とリスク

腹腔鏡下手術を行うには全身麻酔に耐えられる身体であることが重要です。

技術と手術器具の進歩によって、腹腔鏡下胆嚢摘出手術の適応は大きく広がりました。 現在はほとんどの胆嚢結石症胆石症)が腹腔鏡下手術の対象であるといっても過言ではありません。

しかし、中には腹腔鏡下の手術を受けられない、または適切ではない方がいます。
腹腔鏡は直径1cmほどの細長いカメラで行いますので、手術のときに見える視野が限られています。そのため脂肪が多すぎたり癒着が強かったりすると、よく見えなくなりますので手術が危険になります。
また、 以前に上腹部の手術(胃や十二指腸などの手術)を受けられた方は癒着のために手術ができない事があり、このような方には開腹手術をおすすめいたします。

細長い器械をお腹に差し込んで手術を行うため、器械の動きが制限されますので、予想外の出血が起こったり、炎症や癒着などによって解剖が不明である場合には、手術中に腹腔鏡下手術から開腹手術に変更して行う場合もあります。
(当院ではこれまで1026件の腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っていますが、開腹手術に変更せざるをえなかった手術は1件のみであり、全国集計に比べて非常に少なくなっています。開腹移行率など胆石手術実績については、「手術実績及び担当医について」をご覧下さい)。

胆石の手術(胆嚢摘出術)に伴う合併症には、出血のほか胆汁漏出や胆管損傷があります。
中でも腹腔鏡下の胆嚢摘出術では胆管損傷の報告が多く見られます。
胆嚢摘出術では胆嚢と胆管を結ぶ胆嚢管というところを切って胆嚢を取り出しますが、腹腔鏡下という視野が限られた状態での手術であることに加え、癒着が強かったり、胆管の走行は人によって少しずつ異なっているため、総胆管と胆嚢管を見誤って総胆管を傷つけてしまうことがあるのです。
これを防ぐためには胆管の位置をきちんと把握するしかありません。

胆管を確認するための手術前検査として、一般的には採血検査、超音波検査、胆道造影検査を行い、必要に応じてCTやMRIを追加します。

  • 超音波検査でとらえた胆嚢結石(胆石)
    超音波検査でとらえた胆嚢結石
  • 胆道造影像(DIC)
    胆道造影像(DIC)
  • MRIでとらえた胆嚢結石(胆石)
    MRIでとらえた胆嚢結石(胆石)

当院では、胆道造影検査は経静脈的胆道造影(DIC)に加えて単純CTを撮影し、その後画像を3Dに構築するDIC 3D-CTを標準としています。
画像によって胆道の状態が立体的に、詳細に検討できるので、患者さんにわかりやすい説明ができるだけでなく、外科医にとっても手術の戦略が立てやすいというメリットがあります。

また、当院では胆嚢摘出手術中にも胆道造影検査を全例に行います
この検査の目的は、胆嚢管を切り離す位置が正しいのか確認し、大きな胆管損傷を避けることです。副胆管といわれる解剖学的異常がある場合にも造影で確認すればより安全に手術を行うことが可能となり、また、偶然に総胆管結石を発見すれば、追加手術をその場で行うこともできます。

  • 胆道造影像とCTをあわせたDIC 3D-CT
    胆道造影像とCTを あわせた
    DIC 3D-CT
  • 術中造影で描出された副胆管
    術中造影で描出された副胆管

これらの検査を行うことにより、気付きにくい異常を発見し、胆嚢摘出手術中の危険を回避することができます。そしてどのような症例に対しても慎重に丁寧に手術を行うことができ当院の良好な手術成績につながっています。

その他、腹腔鏡下手術に伴う合併症で深刻な問題は深部静脈血栓症(いわゆるエコノミー症候群)です。特に下肢静脈瘤をお持ちのかたやピルを内服されている方はリスクが高くなります。当院では深部静脈血栓症を予防するために弾性ストッキングや脚をマッサージする器械を使用します。

診療予約のご案内
「今すぐ手術を受ける気はないけれど心配」「胆石の手術を受けようかどうか迷っている」「仕事の関係で日程・入院期間が限られてしまう」という方もお気軽にご相談ください。胆石手術2800症例以上を経験した梅澤外科部長が外来診療を担当します。外来診療は予約制となっておりますので、予約専用電話番号にてご予約ください。
(梅澤医師の診療日についてはこちらをご覧ください)
診療予約専用受付:電話番号03-3261-0430 (9:00-17:00・日曜/祭日を除く)
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