新たな前立腺肥大症に対する低侵襲手術「経尿道的前立腺吊上術(ウロリフト)とは?日本初※のウロリフト前向き研究による手術成績の報告ならびに手術手技の工夫
2024.04.18 プレスリリース
発表のポイント
・世界では2011年に前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺吊上術(ウロリフト)が開始され、日本では2022年4月に保険収載されました。
・本研究は、日本初※のウロリフトの前向き研究であり、症例数は50例、手術時間の中央値は20分、手術成績は良好で合併症も少なかったです。
・従来の前立腺肥大症手術では、前立腺部尿道の背側を開大させることが手術のコンセプトでしたが、ウロリフトでは、前立腺部尿道の腹側を開大させることが手術後早期の排尿改善に有効な可能性を示しました。
※テレフレックスメディカルジャパン株式会社調べ
概要
四谷メディカルキューブ泌尿器科科長 阿南 剛(あなん ごう)と千葉県立佐原病院泌尿器科 加賀 勘家(かが かんや)、岩手県立磐井病院泌尿器科長 藤島 洋介(ふじしま ようすけ)、公立つるぎ病院泌尿器科部長 南 秀朗(みなみ ひでろう)らの研究グループは、経尿道的前立腺吊上術(ウロリフト)が、前立腺肥大症に対する低侵襲手術として、手術時間が短く、手術後の排尿改善効果において有効であることを明らかにしました。
ウロリフトの前向き研究データの報告で、50症例の前立腺体積の中央値は42mL、手術時間の中央値は20分、インプラント本数の中央値は5本でした。手術後、発熱や止血術を要する出血はなく、全例において、予定通り1泊2日で退院されました。排尿に関するスコア(国際前立腺症状スコア)ならびにQOLスコア、最大尿流率、残尿量は、手術後1か月および3か月において手術前の値と比較して有意な改善がみられました。
手術方法別で解析したところ、前立腺部尿道腹側を開大させるリフト位置において、手術後1か月から早期に有意な最大尿流率の改善を認め、ウロリフトは前立腺部尿道の腹側を開大させることが手術後早期の排尿改善に有効な可能性を示しました。
今後ますます増加が予想される前立腺肥大症に対する低侵襲手術としてウロリフトが有効であることを示し、SDGsの「すべての人に健康と福祉を」に貢献します。
本研究成果は、2024年4月16日付け(日本時間)で国際専門誌「International Journal of Urology」に掲載されました(https://doi.org/10.1111/iju.15461)。
論文情報
論文名
Initial outcomes and surgical techniques of prostatic urethral lift for benign prostatic hyperplasia in Japan
(日本での前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺吊上術の初期成績と手術テクニック)
掲載誌
International Journal of Urology
著者名
Go Anan*, Kanya Kaga, Yosuke Fujishima, Hidero Minami, Thomas Mueller, David Sussman
*責任著者
お問い合わせ先
医療法人社団あんしん会 四谷メディカルキューブ
経営管理部 広報担当
島津・永田
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